魚の血液採取 | とある獣医の豪州生活(オージーライフ)

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オーストラリア在住の獣医学生であるAKIが熱帯魚の飼育日記をはじめ、
ワンコ、麻雀、アニメ、日々の生活などなど・・・
日本とは少し違った世界観をUPするブログです。

※コメントしていただくと、ブログ主が泣いて喜びます。

やぁ(´・ω・`)
また一週間が始まってしまったね、AKIですお。

今日はIntensive Production Animal Medicineの授業。
養鶏、養豚と授業やってきたけど、今日からは養殖になったお。

うーむ、なんというか、魚に関する授業はあまり掘り下げないわなぁ。
あ、魚の獣医になるならタスマニア州がいいね。魚介類の養殖が豪州で一番盛ん。
しかもタスマニア州に獣医学科は無い。つまり他州頼り。


が、個人的に魚の養殖は未来があまり明るくないと思うんだよなぁ。
陸地での養殖は大量の「使える水」を使うわ、面積が必要だわ、電力に頼ってるもなぁ。
洋上の養殖はその点まだマシだと思うけど、環境問題と深く関連しちゃうから読めない。

第一、魚を育てる際に必要な「餌」ってのが「魚」なんだよ。養殖魚のほとんどが肉食だからね。
奴らは植物性タンパク質は消化できない構造になってるからのぉ。
で、動物の餌の中で「魚」ってのは船出して得る餌だから、原価がお高くなってしまう。
上手いこと植物性タンパク質を吸収可能にする餌の開発は熱いらしいが。これ実現すると革新。


あと安定する養殖はナマズ。あいつらは質の悪い餌でもガンガンでかくなる。
「ナマズの肉」と言われると敬遠する人も多いだろうけど、実際ナマズの肉は美味いよ。
マクドナルドでフィレオフィッシュを食べる人も多いだろうが、あれナマズです。
あとはアレだ、海苔とかその辺は養殖物としても安定すると思うが。


と、いうわけで現在の自分はあまり魚の方向に進む気はおきてないっていう。
いやまぁ診れるようにはなりたいし熱帯魚程度ならもうそこそこ診れるつもりではいるけど、
養殖場で働く魚専門、みたいな方向はあまりみてないなぁ。





ところで今日の実習は魚の血液採取。




魚だって血が流れているわけで、魚の血液検査はやはり色々な情報を与えてくれる。
が、魚は「水に住んでる生物」なんでこの血液採取がちょっと面倒ww
そりゃそうだ、まず水から出す、という工程から始めないとアカンからなぁ。
勿論水から出すと暴れるんで、血液採取の前にまずは麻酔をかけてしまいます。

「魚にどうやって麻酔かけんだよ!」と思われるかもしれないけど、簡単です。
マスクつけて吸引させることもできないし、注射による投薬もできないですが、
魚の泳いでいる水に液状麻酔を直接ぶち込んでしまうんです。丁子油(チョウジ油)ですな。
魚はエラを使った呼吸の過程でこの水中内の麻酔薬を血中に取り込み、麻酔にかかる。
5分も泳がしていると平衡感覚もとれなくなり水底でひっくり返りますww






麻酔が効いてぶっ倒れたら、やさしく網で掬って濡らした布の上なりなんなりへ。
手もしっかりと冷やして濡らして、魚に与えるダメージを極力減らしつつ素早く採血タイム。
今日は大学でストックしているバラマンディ(スズキ科の魚、非常に美味い)で実習。

お魚の血管は背骨と並行に走ってるんで、
尻尾の付け根辺りからウロコを避けつつ針を入れてこれを狙います。
これはアレですね、魚を捌いたことがあれば皆知ってる「血合い」ってヤツだ。
しかし魚を捌いたことある人ってかなり少ないのな・・・かなりのヤツ知らなかったぞ(; ´д`)



針を入れて、背骨に当たったらちょっと戻したら血管。一発でしっかり当てたお。
0.2mlだけ採血した。あまり血液量ないから採り過ぎは危険。
さすがに水に棲む生物だけあって魚の血は非常に凝固しやすいので
すぐに抗凝血剤と混ぜちゃえば終了。
お魚のほうは麻酔を抜いちゃえばまた元通り元気に泳ぎだしますた。かわゆい。


うーむ、魚には包丁ばかり刺してたから注射針を刺してまた生簀に戻すってなんか新鮮・・・。