セミナーでご質問を受けた時や、
お悩み相談室でのご相談をお受けしている時、しばしば
「あなたはどうしたいですか?」
「あなたはどちらがいいと思いますか?」
という問いを投げかけることがあります。
そうすると、たいていの方はそこでご自分の考え探索モードに入ります(笑)
つまり、即答できない、ふだんから「自分がどうしたいか」を意識して考えていらっしゃらない方が多いのですね。
「生徒に求められる指導者になろう!」
「期待に応えられる自分でありたい!」
もちろんこの考え方は良いと思いますが、だからと言って、言われるままに自分のやり方をコロコロ変えていくのでは、自分の軸が定まりませんね。
自分の軸。教室の方向性。
考えたことがありますか?
漠然としたイメージやスローガン的なものはあるとして、
どこまではやってどこからはやらない、という線引きができる基準はありますか?
ちょっと長くなりますが、そこを定める考え方について書こうと思いますので、よかったらお付き合いくださいませ。
ピアノ教室の方向性はいちばん簡単にすると二次元で表せるかなと思います。
(もちろん、もっとフクザツですが、分かりやすくこの記事では二次元で!)
X軸 … ピアノ演奏の専門性
Y軸 … コミュニケーション
X軸を決めるのは
・自分の能力(どこまで教えられるか)
・生徒のニーズと能力(何を求めているか、どこまでできるか)
Y軸を決めるのは
・自分の能力(コミュニケーションが得意か否か、好きか嫌いか)
自分の座標をどこに取るかは自由な選択です
・導入期に特化してご家庭と密なコミュニケーションを取る
・専門性を追求し、練習は家庭に任せる、練習しないなら辞めていただく
・練習をできるよう育てるところも含め、相手に寄り添っていく
これらを決めるのは自分で、そこに優劣も良い悪いもありません。
選択する場合の考え方について書きます。
X軸は、まず自分がどの段階まで教えられるかということを意識する必要がありますね。ここは問題ないかと思います。
問題は、相手があるということです。自分の思い通りにいくとは限りません。
例えば、自分が「専門性を追求するので毎日練習するのは当たり前です」という考えなのに、ほとんど練習しない生徒がいる場合。自分の考えのみで判断するなら、「練習しない生徒はやめてもらえばい」ということになります。
ここで練習しない生徒をバッサリ切るのか、働きかけてなんとか練習する生徒に育てるのか、それはY軸をどこに取るか、ということになりますね。
Y軸はコミュニケーションですから、練習しない生徒にどの程度働きかけるか、どの程度保護者と連携するか、ということを決めます。
とことん寄り添っていくのか、そういったことはあまりしないのか、これはどちらが良い悪いということではなく、自分がどこまでできるか、どこまでやりたいか、という判断が必要ということです。
コミュニケーションが得意でないのに、無理に寄り添ったり働きかけたりしようとすると疲弊します。
このように考えていって、結果として自分が決めた座標が、教室の軸、方向性ということになりますね。
再度書きますが、そこに優劣も良い悪いもないと思います。
自分の教室をただ自分の考えで運営する、それだけです。
ただ自分が決めたことに対する『誠実さ』は絶対に必要ですね。
さらに今日は深堀り。
この選択に付きものの問題点について書いてみます。
X軸を決める時、「自分は3歳から教えたいのにうまくいかない」「コンクールで上位入賞するような子を育てたいのにうまくいかない」。
こういう場合は自分の希望に対して力が不足しているということですから、諦めるか勉強するかのどちらかです。
Y軸も同じです。「もっと上手に寄り添って働きかけていきたいのに、うまくできない」のならば、コミュニケーションを勉強するのみです。
厄介なのは、
本当は幼児は嫌なんだけど、それをしないと集客できないから勉強はしないけど、仕方なく教える。
本当はコミュニケーションを取るとか寄り添うとか面倒くさくていやだけど、それをしないと冷たいと思われるかもしれないからやる。
こういう場合です。
やりたくないこと、気が進まないことを、力のないままにやろうとすると、そこに相手に対する愚痴や批判が生まれやすくなります。
「私はこんなにしてあげているのに…」と。
こういう批判の矢にさらされてしまった保護者や生徒はお気の毒ですね。
現状、自分の方向性や軸をどこに置くか悩んでいる方は、
この考え方に沿って、自分に何ができるかを見つけるところからスタートするといいです。
その上で「できるからやる」のか「できるけどやらない」のか「できないからやらない」のか「できないから勉強していつかやる」のかを決める。
その先に、本当に自分が求める教室、自分のスタイルが確立していく未来があるのだと思います。
今日も最後までお読みくださいましてありがとうございました。
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