娘は桜が満開な4月に生まれた
わたしが娘を産んだ日
自分が、こんなに元気に外を歩ける日が来るとは思わなかった。
自分が、こんなにいろいろ食べられるようになるとは思わなかった。
お腹の中にいたはずの、生命体が、こんなにも脳みそを使って、こんなにもおしゃべりをして こんなにも行動をして、こんなにも大人になってると想像すらできなかった。
今は、当時、想像すらしてなかった未来だ。
赤ちゃんが大きかったのと、予定日を過ぎているから、という理由で、促進剤で出産する為に、入院した次の日の朝、太い点滴の針がなかなか入らなくて、何度も何度もやり直して、私の腕は紫色になった。
促進剤が何なのか、こんなに苦しいなんて分かってなかった。
促進剤で、無理やり産むの嫌だなって思ったけれど、病院の先生にそう言われてしまったら、従うしかなかった。
陣痛が始まり、赤ちゃんを産む部屋を移動して、陣痛に耐えた。骨盤が無理やり動かされる感じで痛すぎたっていうか、多分私、ベットの上で暴れ回ってたと思う。
そんな時に、看護師さんが何か異変に気付いたのか、慌てて、ポケットから電話を出した光景を覚えている。
その後、すぐに部屋に、たくさんのお医者さんとたくさんの看護師さんたちが入ってきた光景も覚えている。
ただことじゃない感じがして怖かった。
でも、陣痛の痛みはそれどころじゃなくて私はベットの上で暴れ回っていた。
気づくと、
看護師さんたちに、ベットを移動させられて、手術室に運ばれて、
私は、「助けて!!」って叫んでいた。「助けるから、これして!!」って、酸素マスクを無理矢理つけさせられた。そこまでは覚えている。
そのあと気づいたら、病室だった。
周りは静かだった。
あれ??赤ちゃんは??って、聞いたら、
連れてきてくれた。
それが私の出産だった。
怖かった。
夫も、死んじゃうんじやないかって怖かったって。言ってた。初めて神様に祈ったって。
そして、なんでその状況になったのかは、謎のままだ。
病理に、胎盤を調べてもらったけれど、原因がわからなかった。
赤ちゃんの心拍数が急に落ちて、危険な状態で、緊急で手術になった。出血も多かった。
彼女が小学生になった今やっと、ここまで文字にできるようになったし、思い返せるようになった。当時、すごく怖かった。
あんまりにも、怖かったり、辛かったりすると、思い出したくない。って、無意識に発動するんだろうね。
時間が必要だね。
生きていることに感謝って思うタイプじゃないけれど、生きてるって不思議ですごいことだ。
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