高校生の時に
デパートで黒のドレスを買ってもらったことがあった。
50000円だった。
そんな高いお洋服を買ってもらったことは一度もなかったかし、
節約第一という考えが染み付いていたから、
「いらない」
ってすごく言ったのに
「結婚式用に」と買ってくれた。
多分、商品券?か何かあったらしかった。
ちゃんとした服を買ってあげたことがないって。も言ってた。
私は、結婚式に呼ばれたときはいつもそれを着たし、
成人式の二次会でも、それを着た。
そういう場所で服に困ることがいことに、ほっとした。
そのドレスを着ているときは
私、すごい服を着ている。とてつもなく高価な服を着ている。
っていう意識が自分の中にいつもあって、惨めにならなかった。
普段着ているお洋服は、節約第一で、安くて可愛いくて、高校生のムチムチパンパンの私の体型と私の好みとを兼ね備えた服はなかなか見つけられなかったから(そもそも自分が好きなお洋服を着ていいという概念がなかった)、
そのうえ、自分に自信も何もなかったから、友達と遊びに行く時に着るお洋服にはいつも困っていた。
そのドレスが気に入っていたというのはもちろんあったけれど、気に入っているものを着ていること、何を着ていいか困らなかったこと、他人と比べて惨めにならなかったことに、心底ほっとして、堂々としていられる自分に安堵した。
そのうち黒で重くてやだなと思って着なくなったけれど。
黒のドレス。
あれがあってよかった。
お金と惨めと愛情と入り混じった黒のドレス。
私、高校生の頃から拗れてタワ。😂