私は米が嫌い。


ウチは米を作る農家だった。


米があるから、家族が不公になる。

お母さんが休めない。

ダムができて、田んぼが潰れればいいと思った。

ジャスコができて田んぼが潰れないかと願った。



そんなことは起きるはずもなく、私は大学生になる。

米を、一人暮らしのアパートに送ってもらってはいたが、米が嫌い。この、米のせいで、家族は休めない。喧嘩が絶えない。


わたしは、二十代は、ほぼ、パスタ生活だった。




米がアッペ。

米どうすんだ。

米は金になんね。


お父さんは言っていた。



お母さんは、田んぼに行かなきゃならなくて、会社から帰ってくると、すぐに着替えて、日が暮れないうちに、田んぼに行って仕事をしていた。会社に行く前に、早起きして、田んぼで仕事をしていた。


ゴールデンウィークは、1番忙しい時期だった。種まき、しろかき、田植え。

わたしと弟は、行きたくもないのに、じいちゃんと子供祭りに行かされた。


おかあさんは、

私たちが他の大人に何かしてもらうと、

すみません

ってよく謝ってた。


連れてってもらってすみません。

いただいちゃってすみません。




私たちは謝罪の存在なの??



田んぼがある。

田んぼどうすんだ。

って、喧嘩ばっかり

朝も、私たちが起きる前から、私たちが学校へ行くときも、お父さんとお母さんは、田んぼに出て仕事してた。

私たちのご飯なんかの時に、ちょっとだけおかあさんは、お父さんに文句を言われながら、お父さんの目をくぐって、ウチに戻ってきて、また、田んぼへ行った。


田んぼは嫌い。

米は嫌い。


40歳になった今、やっぱり米はうまい。

しかも、生まれたとち、育った土地の米が1番うまい。と、思う。