聴覚優位の特性―言葉に強く、整理上手
NLPを使う中で、交渉力のある保護者には「聴覚優位」タイプが多いと気付くようになりました。
このタイプは、“耳”や“言葉”を使って情報を整理し、理論的に納得することを重視。要点を素早くつかみ、やりとりは常に明快で的確です。面談やLINE・メールでも、言葉の選び方や伝え方が一貫していて、とても合理的です。
実は悩むのがとても苦手
しかし、こうした聴覚優位タイプの保護者は、“葛藤”や“迷い”といった感情を表に出すのが極端に苦手だと感じています。
たとえばお子さんの進学・塾通いとの両立が難しくなった際も、ゆっくり悩むことなく「今は勉強を優先します」と瞬時に決断します。相談という体裁でも、心の中ではすでに結論を出していて、時にこちらの返答はあまり重要ではないように見えます。
「冷たさ」や「共感の乏しさ」に見えるかもしれませんが、本質的には「結論が出ていない状態」に強いストレスを感じているだけ。家族へ愛情や責任感も持ちながら、感情的なしんどさと長く向き合うこと自体に耐性が低い傾向があります。
単純な説明の奥にある“本当の気持ち”
聴覚優位の保護者は
「部活が忙しいので…」
「本人がやる気をなくして…」
「家計の都合で…」と、論理的かつシンプルな説明をしがちですが、その裏には「これでよかったのか」という迷いや葛藤が隠れている場合が多いです。
時には、最後までこちらの提案や助言に耳を傾けたり、語尾や表情に「実はこれでよかったのか」という揺れが垣間見えることもあります。
決断が早く合理的な一方で、“悩むことそのもの”“感情の揺れ”にフタをしがち。そのため、論理的説明で自己納得しつつも、不安や後悔が解消しきれないことも多々。
聴覚優位の保護者は、自分の気持ちを素直に伝えることが得意です。だから答えの出ないことに時間をかけることがとてもストレスなのですね。
指導者側としては、そのシンプルな言葉の奥にある「未整理の気持ち」や「迷い」に目を向け、もし余裕があれば「他に気になることは?」とそっと声をかけてみること。それが、その方の本音にふれる大切な一歩になることもあります。
