日本では杉田水脈議員がＬＧＢＴについて書いた記事を発端として、ついには雑誌新潮４５そのものが休刊になったとのニュースが入ってきました。

差別には絶対反対ですが、かといってすべての人を決して傷つけない、というようなことは理想ではあっても現実的には不可能。差別だ差別だ！と主張してすべての言論弾圧をしていては、結局のところ誰も幸せになれない世の中になるのではないかと危惧してしまいます。

さて私が住んでいますオーストラリアはどうかというと、先日同性婚も認められましたし、かなり進んでいる方ではないかと思いますよ。周りのゲイの友人たちは皆さんのびのびしているので、割とうまくいっているのではないかと。（もちろん全く問題がないわけではないことは承知していますが、概して良い方向へ向かっているのでは？ということです）

ここで何かにつけて差別だとポリコレ棒を振りかざすのは、ＬＧＢＴよりは民族問題に多いような気がします。ポリコレというのは、ポリティカルコレクトネス　政治的に社会的に絶対的に正しいことを求めることです。しかし民族問題は複雑でポリコレを極めるのは難しい。オーストラリアは国策として多文化共生を歌っていますから越えなければならない壁なのです。、皆差別をなくそうと努力しているのですが、それが時に行きすぎてしまうことも。

先日こんなことにまで差別といわれるのか、、、という体験をましたのでそのお話を。

ある会合で、出席者の一人が「異なるエスニックバックグラウンドを持つ人物に、その出身民族の踊りや歌などを演じることを求めることは差別にあたる」との意見を言った人がいました。つまりは、アイルランド人にアイリッシュダンスをしてくれと頼んだり、インド人にヒンドゥー語で歌を歌ってくれと頼むことは差別だと。いや、そんなことを言っていたら、多文化系のイベントが成り立たない。ハーモニーデーなどはダーウィンに住む各民族が自分の故郷の文化を披露しているのですが、このコーディネーターは仕事が出来ないです。私も多文化共生カラオケを開催した時には、日本人のひでさんにヤングマンの日本語版を歌ってもらいましたが、これも差別？えええ？？

まあ、その会はエスニック問題を話し合うためのものだったのですが、また同時に色々なイベントを主催する人や、出演者をまとめる側の人も多かったですから、この方の主張には反論意見が飛び交い、参加者の賛同を得ることはなかったのですが、人種問題に関するポリコレを極めるとこういうことになるのだろうなと。

しかしこれ荒唐無稽な批判、というわけでもないのです。例えばオーストラリアに住む日本人の多くは、日本語が話せて、折り紙が出来るものと期待されていて、、それくらいは別に普通ですが、しかし「日本人なのだから寿司が作れるだろう」、とか「日本の機械（コピー機とか）なんだから直せるでしょう？」という期待をされるとちょっと困るなと。。。

私は日本生まれですから、大概のリクエストには答えられますが（コピー機の修理は除く）、しかし2世、3世の人たちにとっては親の母国の文化になるわけで、なかなかつながりを持ち続けるのは難しい。日本語は話せるけど書けない日系二世の人たちは多いですしね。これを書きながらちょっと反省したのが、中国系の人たちとの会話です。三世以上の人たちは、中国語は話せないし、漢字も書けないことが多いのですが、私は中国人とは話題をつなぐために漢字の話をよくするので（あなたの名前の漢字は？とか）、つい気軽に聞くことが多かった。。。。　皆さん慣れているのか、「差別するな」、と怒られたことはないですが、少し気まずくなったことがあったことを思い出しました。英語がネィティブの中華系の人の場合にはこれからはちょっと控えようと思います。

ということで、出身民族の文化なのだから知っているはずだという決めつけをする事は良くない、ただ、それによって不快に思う人もいるのだからこれは差別なのだ、と糾弾してしまっては、多文化共生のイベントはできない。人を傷つけないように、という目的だったのが、気軽にそのカルチャーのダンスを踊ってと頼むこともできない、不寛容な社会になってしまっては本末転倒です。

また、多文化共生とはお互いの文化を尊重するということですから、○○人というアイデンティティを全く無視されて、まるきりオーストラリア人として扱われると、それはそれで不快に思うし、オーストラリアが理想とする多文化共生自体が成り立たない、、、、む、難しい、、、、

チャールズ・ダーウィン大学のハーモニーデーイベント

オーストラリア多文化共生のポリコレあれこれ、まだ続きます。

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豪州ポリコレあれこれ 其の１

豪州ポリコレあれこれ　其の１