10年越しの執念
週末になると、娘の部活の応援に足を運ぶ。高校から未経験で入部したうちのJK(女子高生)に、ゴールデンウィークなんてものはない。毎日ひたむきにボールを追いかけている。もちろん、すぐにはレギュラーにはなれないけれど。「明日、試合出られないけど見にくる?」娘からのLINE。「もちろん。あなたが頑張ってる姿を見るのが好きなのよ」そんなやり取りをして、私は会場へ向かう。「面倒なこと」は避けてきたけれどこれまで、部活の保護者たちとはあえて距離を置いてきた。保護者のグループLINEにも入っていない。以前誘われたときは、「(別居中の)夫が入っているから」と断ってきた。でも、入部から1年。他のママたちとも打ち解けてきたし、試合の情報も欲しくなった。思い切って「グループLINEに入れてもらえますか?」と伝えると、「もちろん!」と快くOKしてくれた。……はずだった。10年越しの「執念」グループに入った、その直後。別居中の夫から、部長のお母さんに電話が入った。「なんで母親が入ったんだ!」相当お怒りの様子だという。10年別居していてもなお、私の動向をチェックし、即座に排除しようとするそのスピード感。……正直、めんどくさい。直接私に言えばいいものを、わざわざ他所のお宅に迷惑をかけるなんて。でも、ここで揉めても娘に影響が出るだけ。私は「あ、ごめんなさい!」と速攻でグループを抜けた。その執念、もはや感動すら覚える。笑い話になる、その日まで幸い、娘との関係は良好だ。今でも週に一度は、私のところに遊びに来てくれる。この「グループLINE即抜け事件」は、娘が20歳を過ぎて、一緒にお酒でも飲めるようになったら解禁しようと思う。「あの時、お父さんったらね……」なんて。私の中では、すでに半分くらい笑い話になっているけれど。今日も私は、少し離れた場所から、ボールを追う娘の背中を静かに見守っている。