―『美男〈イケメン〉宮廷〜麗しき4人の皇子たち〜』―
物語 後半。
ヒロインがジアレンとなった物語の中で、
熱病の流行が問題となる場面。
ジアレンは、面紗をつけることを進めていますが、
新明国の医官たちは面紗も付けず治療をしています。
ジアレンが治療に加わってからは、
医官たちもつけるようになっていますが、
なぜ医官たちは最初から面紗をつけることを
していなかったのか?
今回は、「面紗をつけること」について考察します。
なぜ新明国の医官たちは
最初、面紗をしなかったのか
① 当時の中国医学に「感染予防」の概念がほぼ無かった
- 病気は「気の乱れ」
- 邪気・瘴気・湿気などのバランス異常
- 体質の問題
として捉えられていました。
「人から人へ“うつる”」という感染症概念が、
体系的に確立されるのは近代以降。
② 面紗の役割は「礼・防塵・身だしなみ」
面紗は歴史的には
- 砂や寒気を防ぐ
- 女性の顔を隠す
- 香粉や口臭対策
といった目的のほうが主で、
医療用防護具ではなかったのが実情。
③ 宮廷医官の意識
宮廷医官たちは
- 自分たちは「感染しない側」
- 患者は隔離対象である
という階級的発想を持っていた。
ジアレンが面紗を進めた意味
ここにヒロインの特異性がはっきり現れます。
彼女の発想は
- 病は人にうつる
- 呼気や唾液などで広がる
- だから口鼻を覆う
という、
完全に近代医学の思考
です。
この時点でジアレンは
- この世界の医学観よりも、
- 数百年先の考え方を持つ人
として描かれているわけです。
医官たちも後から
面紗をつけ始めたのは
① ジアレンのやり方に「成果」が出た
- 感染拡大が抑えられた
- 回復率が上がった
② 宮廷医官という組織体質
宮廷は常に
- 新しい発想に懐疑的
- 身分が低い者や外様の意見を信用しない
という環境です。
だから最初は
若い女医しかも公主の「突飛な考え」
と見なされ、無視された。
しかし、
命がかかる現場で、
結果を出されてしまうと従わざるを得ない。
ここでようやく態度が変わったのです。
そして、もう一つの狙い
ドラマ全体のテーマの縮図でもあります。
新明国の特徴
- 形式重視
- 前例を疑わない
- 序列に従う
ジアレン(ヒロイン)の役割
- 現実的
- 結果を重んじる
- 人の命を最優先する
宮廷の体質 vs 現代性
のぶつかり合いを、
医療という場で象徴的に描いているのです。
更に、あの場面では、ヒロインの
- 医学的先進性
- 行動力
- 周囲に影響を与える存在感
すべてを一度に示しています。
理屈より“命を救う責任”を優先した人間
として、
ヒロインの人格の核まで示しています。
まとめ
熱病の流行時、新明国の医官たちは最初、
面紗をつけずに治療を行っていた。
それは当時の医学観が
「感染予防」という発想を持っていなかったため。
病は「気の乱れ」や「邪気」と捉えられ、
人から人へ感染するものと
明確に理解されていなかった時代。
そこへヒロインは、
人の呼気で病が広がる可能性を想定し、
面紗による予防を提案する。
この行動は、
ヒロインの医学知識の先進性を示すと同時に、
前例に縛られる宮廷の体質との
対照を描く演出でもあった。
命より形式を守る人々の中で、
ヒロインだけが「結果」を最優先に選び続ける。
面紗をめぐる一件は、
この物語が描く
“変革の象徴的なワンシーン”なのです。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕
