―『美男〈イケメン〉宮廷〜麗しき4人の皇子たち〜』―
あの袖つかみのしぐさは、
二人の関係を静かに物語っている
ガシ国の公主となったヒロインが
護衛ジーホワンになりすました第四皇子と、
夜の街の中に出かけます。
この時ヒロインは、
ジーホワンの袖をつかんで歩きます。
あの「袖をつかんで歩く」という仕草は、
実は――
史実・文化・演出が三重に重なった、
非常に意味のある所作なのです。
袖をつかむ仕草の意味
中国時代劇において袖をつかむ行為は、
- 密かな甘え
- 不安・依存
- 心の拠り所を求める気持ち
を示す、とても私的で繊細な接触表現です。
なぜ「手」ではなく「袖」なのか
① 直接触れられない関係性
当時の礼法では、
- 公の場で男女が手をつなぐことはタブー
- 下手をすると処罰対象
だから
「直接触れないけれど、離れたくもない」
その曖昧な距離を表現するために、
袖をつかむという所作が使われます。
② 袖は「相手の一部に触れる」こと
袖は
- 身体と世界をつなぐ境界線
中国詩や舞台表現では、
「袖に触れる = 心に触れる」
と解釈されることが多いのです。
あの場面の心理
ガシ国の公主となったヒロインにとって
市中は
- 異文化
- 見知らぬ人混み
- 公主という立場の重圧
そんな中で唯一心を許せるのが、
正体を隠した第四皇子(ジーホワン)だけ。
だからヒロインは、
手を取るわけにはいかない。
ただ、離れたら怖い。
その微妙な心情を
「袖をつかむ」
という控えめな接触で表したのです。
文化的にも自然か?
完全なフィクションではありません。
実際、
- 宮廷女性
- 貴族の娘たち
が、
- 親しい侍女
- 信頼する護衛
に対して、袖や衣の端をつまむことは
珍しくなかったとされています。
ただし恋愛的な意味合いが強まるのは、
時代劇や文学的な演出として
洗練されてからです。
日常の習慣というより
- 「感情の象徴表現」
- 「美意識を込めた所作」
に近い行動ですね。
あのシーンが胸を打つ理由
あの場面が切なく、美しく感じられるのは、
単なる可愛い行動ではなく、
袖をつかむ =
「あなたしか頼れない」
という“心の告白”だからです。
しかし、
この場面がより切ないのは、
ヒロインは心の声で、
「ジャオチェンイー、
横にいるのがあなたならよかったのに」
といい、
第四皇子は心の声で、
「ショジャ、お前がいればどれほどいいか」
という、
ヒロインも第四皇子も、
互いに探し求めている相手が
すぐ目の前にいると気付いていないこと。
そんな状況の中で、
まるで心は分かっているかのように
ヒロインが第四皇子の袖をつかんで歩くしぐさは、
きゅんとします。
あの一瞬の袖つかみは、
二人の関係を静かに物語っている、
そんな気がします。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕
