君九齢 ・「九齢公主」~隠された真実~


服の色が語る、
    祝福されない婚礼
――第13話・陸雲旗と九黎の婚礼衣装


 

『君九齢』第13話。


陸雲旗と九黎の婚礼は、華やかな場面でありながら、

どこか胸の奥が冷えるような違和感を残します。

 

その理由のひとつが、

二人の婚礼衣装の色です。

 

陸雲旗は、黒を基調に、差し色として赤。


九黎は、赤を基調にしながら、

胸元などに黒が差し込まれています。

 

中国ドラマの婚礼といえば、
本来は「赤一色」が基本。


赤は、

喜び・祝福・生命・正当な結びつき

を象徴する色です。

 

だからこそ、
婚礼衣装に黒が入っていること自体が、

極めて異例

 

この婚姻が、
心から祝福されるものではなく、
犠牲と取引、そして覚悟の上に

成り立っていることを、


ドラマは言葉ではなく

「色」で語っているように感じます。

 

陸雲旗の衣装は、黒が主で赤が従。


それは、彼が選んだ道が
愛よりも政治、感情よりも計算であることを

示しているようです。

 

九齢が愛したものを守りたい

という思いは本物でも、
その手段は“奪うことで守る”という

歪んだ形になってしまった。


黒が主体の衣装は、

彼の内面に広がる闇と孤独を

象徴しているように見えます。

 

一方、

九黎の衣装は赤が主で、そこに黒が混ざる配色。


本来なら祝福されるべき花嫁でありながら、
その赤は決して純粋な喜びだけではない。

 

胸元に入り込む黒は、
愛ではない婚姻を引き受ける覚悟、


そして

「誰かのために差し出される人生」を

静かに物語っているようでした。

 

二人の衣装が、

まるで反転しているように見えるのも印象的です。

 

同じ目的――
九黎と弟を守るための婚姻でありながら、

  • 陸雲旗は「選んだ者」

  • 九黎は「引き受けた者」

その立場の違いが、
色の比率として、はっきりと可視化されている。

 

この婚礼は、
祝福されていないから苦しいのではなく、
祝福できないように作られている

 

見る側に、
「守るとは何か」
「愛とは何か」
を考えさせるための、

静かで残酷な美しさがありました。

 

服の色ひとつで、
ここまで多くの感情と運命を語る――


やはり

『君九齢』は、細部まで計算し尽くされた、
本当に奥深い作品だと改めて感じます。

 


 

 

最後までお読みいただき

ありがとうございます。

 

ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕