―『美男〈イケメン〉宮廷〜麗しき4人の皇子たち〜』―


「考えが足りなくて…
         の正体

― 第四皇子の中に宿った、

     ワン・チェンイーという“心” ―

 

中国ドラマ
『美男イケメン宮廷麗しき四人の皇子たち』

 

第四皇子が何度も口にする言葉。

「考えが足りなくて……」

 

ズーシンとズカンの墓前で。

 

ヒロインが司薬司に移ってすぐ、

冤罪で投獄された時にも。

 

この言葉を、私はずっと
“自分の読みの甘さを

   悔いているだけの台詞”

だと思っていました。


けれど

改めて見返していて、
どうにもそれだけではない

と感じるようになりました。

 


以前シャオバオとウーズーシンが、

第四皇子にこう言った場面があります。

 

「最近、殿下は変わりました」

 

この一言を思い出したとき、

こんな風に思いました。


 

第四皇子の中には、
“皇子としての人格”とは別に、

 

現実世界のワン・チェンイーという、
情と「守りたい想い」

を持った人格が
閉じ込められているからだ、と。

 


 

ワン・チェンイーが

入る“前”の第四皇子は、

まったく違っていました。

 

表では

酒と女に溺れる放蕩皇子を演じ、
裏では恩師の仇討ちのため、

冷酷に、計算高く動く。

 

自分に好意を寄せる女性さえ

利用して暗殺を試み、


また、ズーシンが

「それはあまりにも残虐なのでは」

と言ってしまうほどだった。

 

その頃の第四皇子は、
誰かを「守る存在」ではなく、
復讐のためなら、

誰もが駒になり得る人物だった。

 


 

ところが、

ワン・チェンイーが入ってから

様子が変わります。

 

彼には「情」がある。

  • 信じたい
  • 守りたい
  • 誰かの幸せを、犠牲にしたくない

その想いは、
宮廷の非情さとは決して噛み合わない。

 

だから第四皇子は守れなかった。

  • ズーシンも
  • ズカンも
  • そしてヒロインさえも

理だけなら、防げたはずの悲劇を、
情が覆い隠してしまう。

 


 

だからこそ、

第四皇子は繰り返す。

 

「考えが足りなくて……」

 

それは

戦略の失敗を悔いる言葉ではなく、

 

人を信じたい自分を、
この世界で

どう扱えば良かったのか分からない”

 

という、
ワン・チェンイーその人の

心の吐露なのだと思います。

 


 

この宮廷で生き抜くには、

  • 冷酷であること
  • 他人の心を疑うこと
  • 感情を切り捨てること

が正解。

 

けれど第四皇子の中には、

「守らなくていい命なんて、ない」

という、


現実世界の

ワン・チェンイーの人格が

確かに息づいている。

 


 

だから彼は、勝てない。

 

情を捨てきれないから。

 

だけど私は思います。

 

第四皇子は

負け続けている”のではなく、
人の心を持ったまま、

生き続けている”のだと。

 


 

「考えが足りなくて……」

その言葉は、

  • 皇子としての無力さ
  • 人としての優しさ
  • そして、ワン・チェンイーが
       この世界に残し続ける“心”

すべてを映す、
いちばん静かで、いちばん深い台詞

なのだと感じます。

 


 

最後までお読みいただき

ありがとうございます。

 

ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕