―『美男〈イケメン〉宮廷〜麗しき4人の皇子たち〜』―
ドラマ22話――
第四皇子の恩師の息子ズカンが
第四皇子を守るために
第十一皇子によって命を落とし、
その後、
第四皇子と第十一皇子が
兄弟の関係を取り戻していく場面。
初めて見た時、
私はずっとひとつの疑問を抱えていました。
「なぜ第四皇子は、恨まないのだろう?」 と。
本来なら、
深い怒りや憎しみが生まれて
当然の出来事です。
大切な人を奪われたのに、
第四皇子の心にはそれが表に出ない。
この描写が、
最初はとても不思議でした。
調べ、考え、そして改めて
物語を見つめ直してみると、
そこには三つの大きな意味が
重なって見えてきました。
ひとつは、時代背景。
個人の感情よりも大義や忠義を
重んじる世界では、
私情による恨みを前面に出すことは、
弱さと見なされる時代でした。
ふたつめは、第四皇子の人格。
彼は情が深いからこそ、
感情を外にぶつけず、
すべてを自分の内に抱える人。
相手を責めるよりも、
悲しみごと引き受けて
前に進む人物として、
一貫して描かれています。
そしてみっつめが、
物語全体の大きなテーマ――
「恨みの連鎖は、
どこかで断ち切らなければならない」
という想い。
第四皇子は、
復讐を選ぶこともできたはずです。
けれど、そうしなかった。
彼が選んだのは、
恨みでさらに命を消す道ではなく、
赦しによって悲劇を終わらせる道
でした。
兄弟の関係を修復する場面は、
単なる和解ではなく、
「復讐よりも赦しのほうが強い」という
静かな意思表明だったのだと感じます。
現代の日本の価値観では、
感情を出し、
怒りを表現することが
自然だと感じます。
だからこそ、
第四皇子の沈黙は、
最初は理解しづらく感じた
のかもしれません。
けれど――
声なく抱え込み、
責めず、
それでも悲しみを背負って人を赦す。
そんな精神性が、
この物語には確かに息づいていました。
恨まないという選択。
それは、
弱さではなく、最も深い強さだった。
この場面を通して、
現代とも、日本とも違う価値観に触れ、
私は「赦し」という言葉の重みを、
はじめて心で理解できた気がします。
第四皇子が選んだ、
「自分の心を憎しみに閉じ込めない 生き方」
この「赦し」が幸せへと向かう、
そんな風に感じました。
物語は、ただの娯楽ではなく、
ときに私たちの心の奥を
静かに揺さぶり、
これまで出会わなかった生き方や、
新しい感情の在り方を
教えてくれます。
この作品との出会いが、
私にとってまたひとつの
大切な学びとなりました。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕
