「心から望む人と生きる
という願い
──第8話『君九齢』
に込められた静かな祈り」
第8話で語られる九齢の心の声——
「十数年の人生で三度の婚約」
「いつか心から望む人と一緒になれるだろうか」。
この言葉には、
復讐の物語の奥に隠された
“九齢という女性の本当の願い”が
静かに響いています。
第8話、
方承宇との婚儀の場面で、
九齢が心の中でつぶやく言葉があります。
「わずか十数年の人生で三度の婚約」
「いつか心から望む人と
一緒になれるのだろうか」
このセリフは、
ただ過酷な運命を嘆く言葉では
ありません。
むしろ、
九齢という人物を深く理解するための
“鍵”になっています。
九齢は皇族として生まれ、
公主としての務めを果たすべく
育てられた存在です。
けれども彼女は、
政治のため、家のため、
役目のための結婚ではなく、
「自分が心から望む相手と生きたい」
という、
当時の女性としては極めて稀な
“個人の願い”を抱いているのです。
この願いは、
彼女が背負った復讐や使命とは
まったく別の場所にある、
九齢だけの、
ひそやかな祈りのような気持ち。
表には出さず、
誰にも言わず、
心の奥で静かに抱えてきた願い。
その切実さが、
この場面でふっと
こぼれ落ちるように
描かれています。
だからこそ、
このセリフは視聴者の胸に深く届きます。
誰もが一度は願う、
「本気で愛し、愛されたい」
という気持ちと重なるからです。
そして物語は、
最後に九齢をその願いへと
導いてくれます。
彼女が人生をかけて守り抜いた
“愛と真心”が、
最終的に自分自身の幸せを
呼び寄せる形で結実していく。
復讐劇でありながら、
この作品が多くの人の
心を揺さぶるのは、
この
“個の願いが最後に報われる物語”
という温かい軸があるからなのだと
思います。
九齢は教えてくれています。
「どれほど過酷な運命の中にいても、
心から望む願いは、
決して消えずに生き続ける」
そして——
その願いは、
必ず未来のどこかで形を持つ。
そんな希望を、
そっと差し出してくれるシーンでした。
最後までお読みいただき
ありがとうございます。
ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕
