―『美男〈イケメン〉宮廷
〜麗しき4人の皇子たち〜』―
「皇子の地位は
母親の位で決まる」
~公子不可求より
中国王朝もののドラマを観ていると、
「皇子の地位は母親の位で決まる」
という、
とても厳しい世界が見えてきます。
今回取り上げるのは、
物語の後半に明らかになる出来事、
太子の薨去(こうきょ)そして没落、
第二皇子の失脚、第十一皇子の台頭を
どう理解すればいいのか、
というお話です。
●太子の薨去(こうきょ)・没落
まず、
太子が亡くなると、
太子妃という位は
その瞬間に消えてしまいます。
太子妃の位は
「皇太子の正室」という地位に
完全に紐づいているためです。
作中で彼女がヒロインに
「公子妃と呼んでほしい」と言ったのは、
太子家が皇統から外れ、
家として“公”に格下げされたことを
表しています。
それでも太子家が罪人扱いされず、
彼女も子どもも丁重に扱われていたのは、
太子自身に重大な罪がなかったこと、
そして
皇帝が太子家を完全には
捨てなかった証でもあります。
しかし、
物語の終盤で太子妃の一族の
悪事が露見し、首謀者(徐友正)が
斬首されます。
歴史的に見ても、
一族の罪は妃の立場に大きく影響します。
ただ今回は一族の罪としての
扱いではなかったため、
妃と子どもは命こそ守られるものの、
位の格下げは免れません。
政治的な影響力は
ほぼ失われるでしょう。
●第二皇子の失脚
一方、第二皇子は
母后が失脚したにもかかわらず、
皇子の身分を保ちました。
その理由は、
妃の一族が軍権を握っていたからです。
中国史では、
軍門の後ろ盾は皇帝より強いことすら
あります。
ただ、母后の罪が重いため、
皇太子への道は閉ざされと
思われます。
●第十一皇子
そして第十一皇子。
戦功を立て、
皇帝からの寵愛も厚いのに、
皇太子には選ばれていません。
これも皇帝が慎重だからです。
軍功のある皇子を皇太子にすると、
周囲が不安を持ち、
朝廷内のバランスが崩れてしまう。
また、
彼自身もまだ政治的な基盤が
充分ではなかったと考えられます。
このように考えると、
彼らの立場は決して“運不運”ではなく、
母親の位、外戚一族の力、
朝廷の派閥バランス、皇帝の意図──
さまざまな要素が複雑に絡み合って
形成されていることが分かります。
こうした背景を知ってドラマを見ると、
登場人物の一言一言、
表情の裏に潜む“重み”が
まったく違って見えてきます。
ただの恋愛物語ではなく、
皇統の中で生き抜こうとする人々の
現実が立ち上がってくるからなのです。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕
