―『美男〈イケメン〉宮廷
〜麗しき4人の皇子たち〜』―
愛し方を知らなかった
十一皇子
物語を見返すうちに、
私の中で第十一皇子への印象が
少しずつ変わっていきました。
初めは、
彼は純真で無垢な青年として
描かれているように思っていました。
けれど何度も見るうちに、
彼の心の奥に潜む“もう一つの顔”
が見えてきたように感じます。
第四皇子が冷遇され、
孤独に生きていたことを知りながら、
第十一皇子は皇帝から寵愛を受け、
宮廷の中で恵まれた立場にいました。
その立場の違いを、
どこかで意識していなかったはずが
ありません。
第四皇子を「哀れみ」、
同時に「下に見ていた」ような
優越の気持ち。
そんなわずかな影が、
ルーレンジアへの愛を
より複雑にしたように思います。
ルーレンジアは
第四皇子が心から愛した人。
だからこそ、
彼女を手に入れることで、
兄を超えたいという無意識の願いが
あったのかもしれません。
第十一皇子の愛には、
「愛」と「競争心」の両方が混ざっていた――
そう感じるのです。
後半で
彼が“変わった”ように見えたのは、
もともと内にあった執着や自尊心が、
愛の名のもとに表に出ただけ。
太子が
ルーレンジアへの思いを募らせる
第十一皇子と第二皇子の二人を
見守りながらも、
静かに距離を促したのは、
その危うさを
感じ取っていたからかもしれません。
それでも、
第十一皇子は悪ではありません。
彼の中にあったのは、
ただ「愛し方を知らない人間の弱さ」。
愛することで救いたいと願いながら、
愛の形を誤ってしまう――
そんな不器用な愛こそが、
彼の切なさであり、
この物語の深い余韻を
生んでいるように思います。
最後までお読みいただき
ありがとうございました。
ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕
