―『美男〈イケメン〉宮廷
〜麗しき4人の皇子たち〜』―

第十一皇子の
「右手の黒い手袋」は
「救えなかった手」の記憶

 

物語の中で、ルーレンジアが

再びゲームの世界に入ったとき、

第十一皇子は

右手に黒い手袋をはめて登場します。


その理由については

作中で語られませんが、

戦で左足を負傷し古傷が残ったという

描写から考えると、

 

右手もまた戦や過去の出来事に

関係していることが想像されます。

 

しかし、

この手袋は単なる怪我の象徴ではなく、

もっと深い意味を秘めている

ように感じます。


それは――


「守れなかった愛」

「取り戻せなかった時間」への

心の封印です。

 

かつて第十一皇子は、

牢に囚われたルーレンジアを

救うことができませんでした。


そして

彼女は第二皇子の側室となり、

自分の手の届かない存在に

なってしまった。


その後悔と痛みを、

彼は“右手”に

刻んだのではないでしょうか。

 

黒い手袋は、

彼が

自分の無力さと罪を隠すためのもの
そして同時に、

「もう二度と彼女を傷つけたくない」
という、

愛するがゆえの誓い

でもあったのだと思います。

彼にとって右手は、
「愛する人を抱きしめたかったのに、

  抱けなかった手」
「救いたかったのに、救えなかった手」。


だからこそ、

彼はその手を覆い続けたのです。

 

物語の最後、

牢屋に囚われたガシ国の公主ジアレン

となったルーレンジアに、


第十一皇子はようやく気づき、

そして

「これで牢から出すことができる」と

彼女を第四皇子のもとへ送り出します。

 

――その時、

右手には黒い手袋は

ありませんでした。


それは彼が

“もう一度、愛を信じることができた”
という魂の癒しの瞬間を意味します。

つまり、右手の傷=「愛を失った痛み」。
黒手袋=「心の封印」。


そしてそれを解いたのは、

ルーレンジアとの魂の繋がりの愛なのです。

 

それは、

彼の愛が痛みを伴うものであった

ことを示しているようで、、、


手袋を外すことは、

「心の傷」を見せること。


そして、

彼は「心の傷」を開放し、

愛を静かに見送ったのです。

 

黒い手袋

――それは「失われた愛の痛み」と

「純粋な想いを守り抜く誓い」。


第十一皇子の沈黙の愛は、

言葉よりも深く、切なく、

そして美しく

私たちの心に残ります。

 

最後までお読みいただき

ありがとうございました。

 

ドラマを楽しむ一助となれば幸いです💕