『野ブタ。をプロデュース』が絶賛再放送中ですが、

実はこのドラマ、僕の人生で最も思い入れのあるドラマの一つなんです。

というのも、

撮影場所が当時僕が通っていた東京海洋大学のキャンパスで、

大学の講義の合間に、リアルタイムで撮影風景を遠目から覗いていたからなのです。


当時僕は大学1年生。

それと同時にお笑いの養成所に通っていた、「駆け出しの芸人」にすらなれていない身分の芸人だったのですが、

ドラマの中で亀梨さん、山下さん、堀北さんが3人で集まることで印象的なこの建物の、


すぐ真下の教室で講義を受けていたのです。


僕は小さな頃からテレビに出るのが夢で、

初めて目の当たりにするドラマの撮影風景が、遠目からでも眩しすぎて、

(いつか自分もあっち側に行くんだ。)

と羨望の眼差しで見ていたのですが、

どうも純粋に目を向けられない自分がいたのです。

そのとき僕は18才。

大学を出てからお笑いをやるか、高校を出てすぐにお笑いをやるか迷っていた僕は、

どうしてもすぐに華やかな世界に行きたくて、

大学入学と共にお笑いを始めるという道を選んだところでした。

無限の可能性を纏い、

思い描いた未来を掴むため、

ライバル達の誰にも遅れを取ることなく、まさに今スタートダッシュを決めたところだと思っていたのです。

でも、撮影風景を遠目に見ながら残酷な現実に気づかされます。

亀梨さんも山下さんも、

たった1個上の19才。

もはや同い年の人たちが、

既にスターになっていたのです。

養成所生が出るお笑いライブでは、ガチガチになってネタを披露するもウケるわけがなく、

大学に戻ると同世代のスター達が眩しすぎる光を浴びている。

既に大きく水を空けられた現実を受け入れることができず、

それでもなんとか自分を肯定したく、

自分は始めたばかりなのだから差などあって当たり前と自分に言い聞かせ、

下を向いてキャンパス内を歩いていたときでした。


「すいません!今撮影中なので遠回りして頂けませんか?」


ドラマのスタッフに制止されたのです。

そこで僕の中の何かが弾けてしまったのです。


「いや、僕ここの学生なんですけど。」

「すいません!ご協力お願いします!」

「いやです。こっちの道なんで。」

「あちらから回り道して頂けませんか?」

「何でですか?僕ここの学生なんですけど。」

認めたくなかった。

既に天と地ほどの差がついてしまっているという現実を。

スタッフによる物理的な制止も、

お前があーなれると思ってるのか?

お前みたいな奴が少しでもこの世界に近づけるとでも思ってるのか?

と笑って分断されているようで、

意地でも受け入れる訳にはいかなかったのです。

この後も、かなりの時間言い争いは続き、

僕の声量だけがどんどん大きくなってゆき、

自分でも自分を制御できず、どうしたらいいのかわからなくなっていたそのときでした。




異変を察知した亀梨さんが、





遠くから僕を見ていることに気づいたのです。






そのとき僕は思ったのです。





















やだ・・亀梨くんと目合っちゃった❤️





















僕は頬を染め、その場を立ち去りました。

遠回りしながら、




やだ!めっちゃイケメンじゃん❤️




と思い息切れしながらも、

今に見てろ。

今に見てろ。

と強く念じました。

本当に悔しかった。

何よりも、

スターとはいえ、ほぼ同い年の男と目が合っただけで嬉しくなってしまった自分が許せなかった。

叫びたかった。

僕がここにいるということを、

日本中の人たちに向けて声が枯れるまで叫びたかった。

そしてうちひしがれた18才の僕は、

自分の存在を世間に知らせたくて、

ある行動に出たのです。




野ブタ名物「屋上の半球体」に、


油性マジックで『中村』と書いたのです。





今の僕はあなたたちに近づくことはできない!

でも、確かに僕はここに存在しているのだ!

これが僕なりの魂の叫びだったのです。

しかし、最終回まで見ても



『中村』の文字は一度も写りませんでした。

先ほどのは加工した画像です。

ブロック1個分に太く大きく書いてしまったため、

すぐに気づかれスタッフに消されてしまったのでしょう。



それから数年が経ち、

何とか僕は、

バラエティ番組で亀梨さんや山下さんとお会いすることができました。

そのときに初めて、幼かったあの頃の無念がゆっくりと溶けていった気がしました。


あれから相当な年月が経ってしまいましたが、

小競り合いになったスタッフさん、

『中村』の文字を消してくれたスタッフさん、

心から、本当に申し訳ありませんでした。


最後に亀梨さん、

アミーゴとはスペイン語で『友達・仲間』。

僕はあなたのことを、

今でも勝手に青春アミーゴだと思っております。






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