先日、タイムショックの50周年特番のオーディションがありまして。
控え室は、色んな事務所のタレントさんでごった返していたんです。
そこには、最近僕が仲良くさせて貰っている、中井貴一の物真似でお馴染み・きくりんさんもいらしていたのですが、
このお方、ご自身の人生にとても深い闇を抱えているのです。
僕がきくりんさんの隣に座り談笑していたときでした。
ある知り合いの女性タレントさんが、
「○日って空いてませんか?○○のイベントがあるんですが、良かったら一緒に行きたいと思ってまして!」
と突然のお誘いをしてくれたのです。
めちゃめちゃ魅力的なイベントだったのですが、僕は残念ながらその日は一日中仕事で埋まっており、
「うわ!その日丸一日仕事です!めっちゃ行きたかったのに!」
と泣く泣くお断りしました。
彼女は、
「残念です!きくりんさんはご予定いかがですか?」
と続けました。
するときくりんさんは、
あまり気の進まない様子でスケジュール帳を開き、
その日、空いていることを確認すると、
弱々しい声で返答したのです。
「空いてるは空いてるんですけど・・他にどなたがいらっしゃるんですかね・・?」
「あとは、○○ちゃん(グラビアアイドル)とか、○○ちゃん(モデル)です!」
とても豪華なメンバーでした。
男なら大金を叩いてでも行かせてくれと懇願するようなメンバーです。
しかし、きくりんさんは、
一度天井を見上げると、
覇気なく呟いたのです。
「いや・・僕みたいなもんが、そんなキラキラしたメンバーに混じってはいけないです・・」
え?
呆気にとられました。
きくりんさんはうつむき、
「僕は学生時代、スクールカーストの最下層にいた人間なんです。そんな日の当たるメンバーに混じったらバランスが崩れてしまいます。僕は行くべきではありません。他を当たって下さい。」
断固拒否したのです。
あまりの闇の深さに僕たちが言葉を失っていると、
「続きまして、きくりんさん!別室までどうぞ!」
順番が丁度回ってきたきくりんさんが、番組ADさんに呼び出されました。
きくりんさんはジャケットの内ポケットにミキプルーンとDCカードを忍ばせると、部屋の出口に向かって行きました。
僕は、徐々に小さくなってゆくきくりんさんの背中を眺め、
そこに一人の人間の人生を見ました。
青春を謳歌できなかった男が、それから数十年経った今もそれを引きずりながらも懸命に生きている。
勉学に努め、
早稲田大学を卒業し、
芸人の道に進み『中井貴一』という武器を手に入れた後も勉学に努め、
最近では2年の月日を費やし、超難関試験漢検1級の合格を果たしている。
この日行われたタイムショックの新人オーディションには約200人の精鋭が集まりました。
しかし新人枠として、たったの1人しか受からないそうです。
僕も本気で挑んだのでもちろん出たいです。
でも、もし自分が落ちたとしても、きくりんさんが合格したのなら心から拍手できる。
そう思える、愛すべき先輩なのです。
■YouTubeチャネル「シューマッハ中村のクイズバ!」に、きくりんさんが来てくれました!きくりんさんとの5番勝負!是非ご覧下さい♪