昨日の夜、地元の友人の結婚パーティーに行ってきたんです。
何より嬉しかったのが、スーツを着られることでした。
というのも、
僕は子供の頃から木村拓哉さんに憧れており、
最近ではカリスマ美容師の方に頼み、
先週まで放送されていたドラマ「BG~身辺警護人~」の木村拓哉さんの髪型にしてもらっていたのです。
しかし、髪を切ったはいいものの、
ボディーガード役の木村拓哉さんが常にスーツ姿なのにもかかわらず、僕はここのところスーツを着る機会がなかったのです。
そう、いまいち木村拓哉さんの気持ちに近づけずしっくりこない日々を送ってい中、訪れた結婚パーティーです。
僕はウキウキしながらスーツに袖を通し、
中村竜太郎から、
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20180318/13/happyboys-ryu/b3/40/j/o0540096014151891627.jpg?caw=800)
これで身も心も木村拓哉さんです。
ドラマBGではボディーガード役を演じていた木村拓哉さん。
パーティー会場で僕は、意味もなく不審なものがないかチェックしたりしました。
会場は爆弾一つ仕掛けられていないこともわかり、安心してパーティーに臨むことができました。
そしてそのパーティーで僕は友人の新郎から、余興をやって貰えないかとオファーされていました。
「もちろん謝礼は渡すから」と。
小・中9年間青春を共にした友人のめでたい席です。僕は、
「いや謝礼なんていいよ!」
と快く承諾したのですが、友人は、
「さすがに竜太郎もプロの芸人だし、そのくらいはさせてくれ。」
と強く言ってくるのです。
「いや本当に大丈夫だから!」
「払わせてくれ。」
とその後も、レジでお会計のときおばちゃん達が「私が出すから!」と小競り合いするかのようなやり取りが続いたのでした。
僕はネタを披露し、余興をやりきりました。
新郎新婦はじめ、他の出席者の皆様にも凄く喜んで貰えました。
良かったと安堵し、自分まで幸せな気持ちになり嬉しくなっていると、あっという間に終わりの時間がやってきました。
結婚パーティーが終わると、出口の所で新郎新婦が待ち伏せており、最後に一人一人と軽くお話をしてお見送りされるのが定番です。
僕も列に並び順番を待ちました。
僕が新郎新婦の下に辿り着くと、
新郎は僕に抱きつき、
「本当にありがとう!最高だった!」
と満面の笑みで感謝の念を伝えてくれました。
僕は、
「こちらこそ時間取ってもらってありがとう!末永くお幸せに!」
と強く抱きしめ返し、会場を後にしたのでした。
僕は、素敵なパーティーの余韻に浸りながら駅に向かいました。
新郎新婦だけでなく、会場にいた人全員の幸せそうな顔が蘇ってきます。
これもひとえに新郎新婦の人柄や人望があってのことなんだろうな。
そんなことを思いながら歩き、心地よく回想していたときです。
恍惚としていた僕の表情が、一瞬にして陰りを帯びました。
あれ?と気づいてしまったのです。
あいつマジでギャラくれなかったな・・
いや、友達のめでたい席だし気にしなくていっか・・
でもあいつくれるって言ってたよな!
というか確かに俺はいらないって言ったけど普通くれるよな!
建て前で拒否する日本人の奥ゆかしさを見せたつもりだけど、俺最初から貰う気満々だったしたな!
初夜の最中見計らって電話して抗議してやろうかな!
と、一人自問自答を繰り返し、脳内で暴れ回っているうちに家に着いてしまいました。
1Kのぼろアパート。
乱雑に靴を脱ぎ、一歩上がるとそこはもう台所兼洗面所です。
汚れた洗面所の鏡。
そこに写ったのは、髪型や格好だけ憧れの人に寄せただけの、くたびれた僕の姿でした。
外見だけ塗り固めた哀れな自分と目が合うと、僕はいたたまれなくなってしまいました。
それでも目をそらさずに悲しい己を見ていると、実に簡単なことに気づいてしまったのです。
木村拓哉さんなら、こんなことグチグチ言わない!
今朝目覚めると、新郎からLINEが来ていました。
「バタバタしてて謝礼渡しわすれてた!今度飯行く時にでも渡すね!」
そう綴られたスマホの画面を眺めると、少し考えた後、僕は返信しました。
「すっかり忘れてた!別にいいのに!」