学校、段階的に再開

 ブリティッシュ・コロンビア州のジョン・ホーガン首相は5月15日、幼稚園から義務教育の最高学年である12年生までの授業を、6月1日から段階的に再開すると発表した。最終的には9月の新年度に合わせた完全再開を目指す。

 

 同州では緊急事態宣言に基づき、3月17日より学校を閉鎖している。ただし医療従事者の子供や、特別な手助けが必要な子供など約5,000人は、特例措置として学校で授業を受け続けている。

 

 「クラスメートと授業を受けたほうが、児童の学習効果は高くなる」と指摘する同州教育省のロブ・フレミング大臣は、この2カ月は生徒にとっても教育関係者にとっても多難な時期だったと語り、また子供たちを家庭で面倒を見るために仕事とのバランスに苦慮してきた保護者の努力にも感謝の意を記者会見で述べている。しかしこうした環境の中でも、ほとんどゼロから立ち上げたオンライン授業がある程度の成功を収めていることにも触れている。

 

 どのように学校を再開していくかについてフレミング大臣は、ソーシャル・ディスタンシングを保ちながら校内の安全を優先するため、最初は限定的な授業になると説明してる。

 

 低学年(1年生~7年生)が通うエレメンタリー・スクールでは、通常の50パーセントの授業のみが行われる。高学年(8年生~12年生)が通うミドル・スクールやセカンダリー・スクールは通常の20パーセントのみの授業で、要は週に1日の授業となる。またクラス編成は可能な限り、学校閉鎖の前と同じにすると、フレミング大臣は語っている。

 

 なお6月以降も、引き続き自宅でオンライン授業を続けることも認められている。

 

 6月は学年末が近づく時期であり、限定的とはいえ、学校が再開されることで卒業を間近に控えた生徒たちは教師やクラスメートと最後の挨拶を交わす機会が持てることになる。なお教育省では学年末を延長する計画はないとしながらも、必要に応じサマースクールを開講する計画があることを明らかにしている。

 

 BC州教員組合(BC Teachers Federation)は政府および医療関係者と連絡を取りながら、学校再開に向けて感染予防対策の取り組み方を練っている。組合のテリ・ムーアリング委員長は、感染予防対策を完全にすることが最優先だと指摘する。教室での授業中、教師も生徒もマスクなど個人用防護具(Personal Protective Equipment – PPE)の着用が認められるが、組合は十分な量を学校が用意するよう求めている。

 

 また再開後の学校生活は、以前とは全く違ったものになるだろうとも予測している。教師も生徒も学校に到着後すぐに手を洗うことが義務付けられるほか、健康チェックを毎日行い、異常を感じた場合は登校しないように求められる。

 また学校の用務員や補助教員、スクールバスの運転手などが加盟するカナダ公務員組合(Canadian union of Public Employees)のポール・ファオロ委員長は、感染予防対策を実際に行っている用務員などの作業量が増えていることに懸念を示し、対策を徹底するために用務員の増員を要求している。

 

 しかし現場からは、まだ学校再開の詳細プランが示されておらず、6月から問題なく再開できるか疑問視する声も上がっている。学校によっては手洗い場の蛇口がひねるタイプではなく、押し続けなければ水がでないタイプのところもあり、手洗いの徹底ひとつにしても細かい対応が必要となる。

 

(参考URL)

https://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/bc-education-update-1.5571175