「私好みの本ばっかり並んでるんですけどー!」

と、本屋の棚を見て思ったのは、初めてのこと。


1番最初に目に飛び込んできたのが

書店中央の棚、

木下龍也さんの『オールアラウンドユー』。

木下さんの歌集を囲むようにして、短歌本が多数。

絵本コーナーには、斉藤倫さん。

文庫本コーナーも、いい感じ。


ここは、東京・荻窪の『本屋 Title』。

店主は、幻冬舎からエッセイを出していた。


『小さな声、光る棚 新刊書店Titleの日常』辻山良雄


エッセイは、

本屋を始めた頃のことからコロナ禍中までの

本や書店経営にまつわる

あれこれが書かれているのだけれど、

こんな静かな文章は、久しぶりのような気がした。

おおげさではない、感情に正確な言葉選び。


気がついたこと、感じたこと、を

ことさら結論づけたり、強く言い切ったりはしない。

私小説作家といわれる

佐伯一麦さんの一連の小説を思い出す。


ポストコロナの今、

私たちの生活はどう変化したのだろうか。

実感の伴わない株価の上昇に、

相変わらずのマスク生活。

自分の心と、それを表現する言葉の間に

大きな乖離ができ、

どんどん離れていっているような気がしている。

そして、そのことに疲れている自分に気がついた。



そういえば、

本棚とカフェスペースに夢中になって、

2階のギャラリースペースに行くのを忘れた。

次は、ギャラリーものぞいてこよう。