最近はひっぽの稽古が平日の夜にもあるんですよね。

うちには現役高校生さきちゃんがいるので、夜も遅いし、家までタクシーでお送りすることがあるんです。

で、この前の話。

さきちゃんを先に降ろして駅に向かう途中、運転手が僕に聞くんです。

「おたく、先生?」

「あ、はい!」

何故、そんな嘘をついてしまったのだろう。
ひっぽの説明をするのがめんどくさかったのか、よほど疲れていたのか。

単なるノリだったのかもしれない。

「へ~、さっきの子は高校生?」
「そうです、うちの高校です。」
「何の先生?」
「げ、現代国語です。」

無論、僕は先生などではない。
ただ、何の気なしに先生と言ってしまったが為に、嘘の上塗りは続く。

「なんかの引率ですか。」
「ええ、今度大会があって…。」
「こんな時間まで大変だねぇ、先生も。」
「き、今日神戸でリハーサルやったんですよ。」
「へぇ~。」
「この辺は痴漢も多いですしね。」
「ああ、わかるわかる。何かあったらすぐ先生の責任になるしねぇ。」
「そうなんすよ、最近モンスターペアレンツってのが…。」

いや~緊張した。
なんか、詳しいこと聞かれたらどうしようかと思った。
第一、なんで自分が高校教師を演じてるのかが分からん。
まさに、リアル芝居。

で、どうにかバレずにタクシーは駅へ。

「1500円になります。」
「じゃあ、ちょうどで。」
「先生…。領収書いらないの?」

し、しまった!
こんな時は領収書をもらうべきだったか。
そうだよな、学校事業だったら要るよな。

で、あせって出た言葉が。

「趣味なんで…。」

…。

…。

趣味はないやろ。