今日も残業。

さすがに木曜ともなると、疲れがたまる。

21時を過ぎた僕の顔は、よほどひどかったのだろう。

「何、難しい顔してるの?」と、隣の課のお兄さんが声をかけてくれた。

「コーヒー飲む?」
「あ、飲みます!」
「甘いほうがいい?」
「普段ブラックっす。」
「ほな、ブラックで、」
「あ、やっぱり甘いので。」
「どっちやねん(笑)」

紙コップに入れてもらったアイスコーヒーはとても美味かった。

とてもとても甘かった。

ほんの少しだけ仕事がはかどった。

その後、職場を出たらちょうど雨があがってた。

…お兄さんも疲れてるのにね。

僕よりも帰るのもっと遅いのにね。

はたして、僕は笑顔でアイスコーヒーをふるまえるだろうか。

できないことじゃない。

でも思いつきもしなかった。

「思いつかなかった」は、「できなかった」と一緒だ。

僕には雨をやます力は持ち合わせていない。

人を元気づけることだって、いつもいつも出来る訳じゃない。

でも僕にだって、誰かにアイスコーヒーをふるまうことくらいは出来るんだ。

そんな気持ちを今日から持とう。

他の誰かにも、僕が感じたあの甘さを味わってもらうために。