昔、私の父は
毎朝 はな(柴犬女子)を連れてガシガシと
たくましく歩いていました。
はなの散歩というより
父のトレーニングに はながお供をしていた感じ。
父のふくらはぎはギュギュッと持ちあがっていて
はなの腿も ムキッと筋肉質でした。
休みの日などに、私もついていくと
話す余裕もなく黙々と
なかば小走りしないと遅れをとってしまい
いつも「おそいなあ」と笑われていました。
あれから何十年…
父は十日ほど前から微熱が続き
かかりつけの医師から大きな病院を紹介され
あちこち検査に次ぐ検査…
結局のところ、よくわからないらしいのです。
待ち時間五時間なんて時もあり
「これでは病院で弱っちゃうよね」
なんて苦笑したりして。
おまけに父は、かつて骨折した右手が痛み
“握る”という動作が困難で
大好きな料理も車の運転もできず…
微熱やら食欲不振やら手の痛みやらで
父はずいぶん気を落としてしまっているけれど
それでも少し変化が見えてきて
昨日は買物に行きたいと言い
久しぶりにスーパーマーケットで
自分で食品を選びました。
今の父の足取りは、まるで摺り足
ゆっくりゆっくり
お店ではカートにつかまって
ゆっくりゆっくり
きっと、そんな自分にガッカリしたりもするのだろう
でもね、草木の名前や
通りのお店が変わったことや
野良猫がよく太っていることや
ゆっくりゆっくり話しながら父と歩くのが
なんだか楽しかったりする娘です。