今朝、バス停で
なかなか来ないバスを待っていたとき
おじいさんが空を指さして
「あれが十五夜になるんかねえ?」
と言われるので見上げると
うっすら三日月が見えました。
「そうですねえ、もう九月ですものねえ」
バス停の脇に立つ銀杏木には
緑色の銀杏が鈴生りです。
「こないだの台風は、えらい雨だったねえ。
でも風は大したことなかったからなあ
梨が落ちなくてよかった。
大きくなって、もうじき取れるのが
目の前で落ちていくのを見るのはなあ…」
そうか、この辺でも梨を作る農家さんがあるのね。
うちのトマトの幹は割けてしまったけれど、梨は無事だったんだ。
おじいさんの穏やかな語りに相づちをうちながら
そんなことを考えていました。
なかなか来ないと思っていたバスは
おじいさんに言わせると
「まあ、これくらいなら普通だな」
そう、そうですね。
ごちゃまぜな蝉の音
ジリジリとアスファルトを焼く日差し
大きな銀杏の木陰で
おじいさんとわたし
長いのか束の間なのかわからなくなる
不思議な時間を過ごしました。