どこで見上げる空も
ひとしく美しいのだと思う。
以前暮らしていた町でも
美しい空に毎日のように見とれていました。
この町で
私が生まれ育った町で再び暮らしはじめて
かつてここに居たとき
こんなにも空を見て美しいと思ったことはなかったと
気づいたのです。
あの頃は
こんなにも空がせまい所は窮屈でたまらない
と、思っていた。
ここは谷あいの町なのです。
だから、ほかより日の出が遅くて日の入りが早い。
箱庭みたいな町が息苦しくてしかたなかった。
でも、なかなか出ていけなくて
いい加減大人になってからようやく出られた。
もう二度と帰ることはないと思って出たのでした。
ここは私がずっと居ていい場所ではないと
小さなころから感じていました。
ここから抜けだしたら“自由”を獲得できる
ここを出ていくことで私は
“いい子”でいられると思ったのかもしれない。
急に夫がこっちで暮らそうと言いだしたたとき
自分でもびっくりするほど嬉しかったのをおぼえています。
それまで目をそむけてきた いろいろなことに気づきました。
どこで見上げる空も
ひとしく美しいのだと思う
けれど、ここで
こんなにも安らいだ心地で
空を見上げる自分に気づく