1日1日が長く感じた入院生活。






今まで生きてきた中で1番涙を流した5日間。










娘のことを完全に受け入れた訳じゃないけど…


先のことを考えると不安しかないけど…






やるしかない。




















もうすぐ退院だというのに
まだやってなかったから  とさせられた沐浴。








前日に別の赤ちゃんだったけど…
沐浴見学したし、
何とか出来るかな?
でも、
お湯の中で洗ったりとか
久々だから怖いな。
  



…なんて思いながら沐浴の部屋に行った。
















…伊織さんの赤ちゃんね、すぐ疲れちゃうから。
沐浴もね、裸にして、お湯につける前に先にベビーソープとかで洗って、最後に少しお湯に浸かるって感じにしてね。













沐浴さえも普通に出来ないんだ…




そう思ったら、涙が出そうになった。
私の気持ちを助産師さんに悟られないよう言われた通りに沐浴をした。






とにかく、手早くしてあげないと赤ちゃん疲れちゃうから。手早くね。





……はい……












沐浴が終わり、部屋に帰った。




これからも何かの折に涙が出そうになることは沢山あるだろう。







ただでさえ涙腺が緩いのに…大丈夫かな?

強くなりたいな…










旦那と子供達は11時頃迎えに来てくれる予定だった。 


帰る支度をして、娘のベビードレスを助産師さんに預けた。


ずっと産婦人科の服ばかりだった娘にとっては、初めて着る自分の服。

















我が家にとっては初めての女の子。



女の子はお店に行っても服が沢山並んでて、色も鮮やか。


色々な服を着せるのを楽しみにしていた。








だけど…

私の娘はダウン症。

色々な服、可愛い服って………………








今の私には鮮やかな服も、全て灰色に見えそうだ。








約束の時間より少し遅れて、旦那と子供達が到着した。


窓から駐車場を見ていると、長男と次男の騒がしい声がした。






やっと我が家に帰れる……





早く家に帰りたかった。


家族と一緒だと、娘のことばかり考えないですむ。

他の子と見比べることもない。
















ごめん!遅れた!!

コイツらがさぁ。遊び行って帰って来なくって。

帰れって言っとったのに…









怒られながらも、長男と次男はいつも旦那にまとわりついている。









もう用意出来とるけん、帰るか。

娘ちゃん、助産師さんに服、着せてもらっとる。






あぁ…じゃあ、荷物先に車に積むわ。








旦那に荷物を持って行ってもらってる間、息子達と先に娘のいる部屋に行った。







どうしたー?

娘ちゃん、まだ?








うん。まだ着替えてるってさ。









旦那は娘に会いたくて仕方がないようだった。








はい。お待たせしましたー。

娘ちゃんですよー。










おぉ………

可愛い。可愛いよ、娘ちゃん!!!







旦那は心の底から娘を可愛いと思っていた。

私は…………………?














退院する私達を心配そうに見つめる助産師さん。




…なんかあったら…

いつでも連絡していいからね…


出産の時に立ち会って下さった助産師さんだった。



…はい。

ありがとうございます。






車に乗り込んだ私達が見えなくなるまで助産師さんは手を振って下さった。




私も
自分のモヤモヤした気持ちを悟られないよう….笑顔で手を振った。