ラジオde法話、火曜日は高岡市戸出、明覺寺住職、林が担当します。062623M2524字)


リスナーの皆さん、おはようございます。


今月は、昨年のような連日30度を超える猛暑と熱帯夜には、ならないで欲しいと願うばかりです。


これだけ電気代が高くなりますと、そう簡単にエアコン頼みの生活も出来ませんね。


昔は障子も襖も開けっ放して蚊帳をつって蚊取り線香の煙の中で団扇を使って寝たものです。


「あまりの暑さにウチワモメ」というほどウチワが活躍した、あの頃が懐かしいですね。


7月は全国あちこちで夏祭りがあります。


京都の祇園祭り、博多の祇園山笠を始めコロナで抑えられていたエネルギーが、あちこちのお祭りで復活して欲しいものです。


富山県ではあまり聞きませんが「しまんろくせんにち」と呼ばれる観音様の縁日も7月にあります。


お米一升が46500粒だと言うことから一生分の功徳を積める縁日として祝うようになったそうで、特に浅草の観音様の「しまんろくせんにち」が有名で、持病や腹痛に効くとされる、ほうずき市の日でもあります。



その他にも七夕、土用の丑の日、お中元、暑中見舞い、現代のお盆休みの原型となった藪入りなど、7月は夏の風物誌でいっぱいです。千百年以上も続く京都祇園祭は例外としても過去からの伝統は各地で形を変えながらも意外と廃れずに残るものなのですね。


蓄積した伝統が今後に続く大きなエネルギー源になればと願います。


ここで先月からの続き、チャットGPTの話です。


チャットGPTも過去からの情報の蓄積をビックデータとして活用しているという点では、最新テクノロジーとは言え、中身は過去のデータのみなので、人間の質問、すなわちpromptsに対してチャットGPTが、どれ程優れた回答を生成しても、それは過去のデータでしかありません。


しかも過去に聞かれたことのある類似の質問の中から最適な答え群を瞬時に選び出して、今、聞かれたことに特化して、過去の類似の人間の答え方、言葉遣いを手本にして作り出した回答です。


その回答はビッグデータから生成しているので、あるいは人間の専門家の答えより、細かく行き届いた優れた回答かもしれません。


実際、大学の先生方が試しに自分の専門分野のレポート試験をチャットGPTに書かせたところ、学生が書いたものより遥かに内容が優れているので逆に簡単に見分けがついたそうです。


しかし、チャットGPTに「大学2年生のレベルでレポートを書け」と命令すると瞬時に使う単語が入れ替わり、こうなると学生が書いたのかチャットGPTが書いたのかは大学の先生でも見分けがつかなかったそうです。


チャットGPTは命令次第で、いくらでも単語のレベルを調整し、小学生レベル、中学生レベル、高校生レベルの文章も、ちゃんと生成する能力があるのです。


命令されれば、わざと生徒らしい間違いを挿入して、あまり点数の高くないレポートさえ作成できるのです。


ある大学では前期の試験をチャットGPTの繋がらない部屋に学生を集めて手書きで試験をさせることにしたそうです。


また学生にチャットGPTを使ってレポートを作成されたら、現在のところ、それを見破る方法はないのでレポート試験自体を中止せざるを得なくなったそうです。


文部科学省も夏休みを目前にして全国の小中高校生のチャットGPTの正しい使い方のガイダンス作成を急いているそうです。


夏休みの自由研究や課題研究や宿題が100点満点でアッと言う間に提出されたら困りますからね。


しかし、どれほど100点満点っぽくても、それは過去のデータのつなぎ合わせなので人間の知恵を超えてしまうのではないかと恐れる必要はなさそうです。


とはいえ、チャットGPTの登場で世界がガラッと変わることはまちがいないでしょう。


これは、よく自動車の登場に比較されます。


初期の自動車はクランクを手回してエンジンをかけ、せいぜい歩くより、ちょっと速い程度の超高価な乗り物でした。


ですから馬車業界からは全く脅威だとも思われていなかったんです。


ところがアッという間に馬車は世の中から駆逐されてしまいました。


チャットGPTだって2015年の12月にイーロン・マスク、サム・アルトマン、グレイグ・ブロックマンなどが立ち上げた頃は、まだまだ人間の使う英語を理解するだけで精いっぱいだったそうです。


20186月のGPT20192月のGPT-220206月のGPT-3と成長し2021年には初めてチャットGPTと言う名前になり人間との相互コミュニケーションから自己学習する機能が加わりました。


現在はチャットGPT-4に発展し、事務処理専用とか、学習支援専用とか、福祉介護専用とか、医療看護専用とか、物流コントロール専用とか、ホテル観光業務専用とか、金融投資専用とか、果てはゲームソフト開発や作曲、イラスト、デザイン、作画の分野でも様々に特化した専門の対話が可能になっているそうです。


しかも悪意のある人間が不適切な命令をわざとインプットしても、それを見抜き簡単にはフェイクニュースやディープフェイクが生成されないようなブレーキを備え始めました。


それはプログラム側の人間がその都度、チャットGPTの不適切な反応をチェックして制御し、学習させたからです。チャットGPTは人間が使えば使うほど自己学習を深めて進化して行くようです。


こんな便利な対話相手を使わない手はありませんね。


そのうちラジオde法話も過去の優れた法話を全てつなぎ合わせることができる分、リアル僧侶よりも話し上手になるかもしれませんね。


しかし、顔と顔を合わせた実際の会話の方が圧倒的にリアリティがあるので、どんなに良い話し相手になってくれても所詮チャットGPTは人間のようなリアリティは当分、再現出来ないだろうと願いたいです。


ですから落語家や漫才師、スポーツ選手、俳優、歌手、教師やインストラクター、料理人が、そう易々とチャットGPTに取って替わられることはないと思いたいです。


恐らくチャットGPTがフランケンシュタインの怪物のように善意で人を傷つけるようなことはないとは思いますが、チャットGPTが引き起こすだろう未来の問題点も含めて出来るだけ長生きをして今後の激動の社会をじっくり観察したいものですね。


今朝は、チャットGPTのお話の続きでした。


それでは皆さん、お体を大切に、お聴聞を重ねつつ、今日も一日、元気に過ごしましょう。