ラジオde法話、火曜日は高岡市戸出、明覺寺住職、林が担当します。052223M2511字)


リスナーの皆さん、おはようございます。


気が付けば、もう衣替えの季節です。


衣替えは別に日本だけの習慣ではないでしょうが、61日から、と言うような一律の衣替えがあるのはおそらく日本だけかもしれませんね。


日本滞在の長い外国人は衣替えを観て、やはり変わった文化だと感じている様子です。


温度・湿度の感じ方にはかなり個人差があるはずなのに一律に衣替えを要求するかのような同調圧力は個人主義が基調の国から日本にやってきた人には少し理解し辛いのかもしれませんね。


理解し辛いと言えば未だにしっかりマスクをしたまま外出している日本人の姿はマスクをしない海外からの観光客の眼にはとても奇異に映っているようです。


コロナ感染が5類に下がったと言われても、マスク無しでスーパーのレジに並ぶには、かなりの勇気が必要ですよね。


日本人の同調圧力好きから類推しますと流行の、はやりすたりの激しさ、変わり身の速さ、好奇心の強さも、やはり日本的な特徴だと言えそうです。


ニュースの伝搬スピードは世界中同じなはずです。


しかし海外では同じニュースが一挙に拡散するという現象は、むしろ珍しくて、どのニュースに興味を持つか、持たないかにも、かなりの個人差があるようです。


ですから日本と違って海外では誰でも知っているニュースというものが意外と少ないようです。


言い換えればこのニュースは誰でも知っていなくちゃならないというような意識が乏しいからなのでしょうね。


日本だったら同じニュースが列島の隅々まで届いていて、知らないと世の中から取り残されたようなアウェー感を味わいます。


これも日本独特の同調圧力の表れのような気がします。


さて、今、日本で急速に話題に上っているのはチャットGPTの登場ですね。


今年の3月に満を持して発表されたチャットGPTは、日本に限らず世界中にアッという間に普及しました。


そのスピードはかつてのFacebookInstagramの比ではないとそうです。


こうなると同調圧力好きの日本人としてはチャットGPTを知らないと恥になりそうですね。


リスナーの皆さんも既にチャットGPTをダウンロードしてみた方も多いのではないでしょうか。


世界中、チャットGPTの話題で持ちきりの今、取り立てて縁がなくても、一体、どんな代物なのか、少しは知っていた方がいいでしょうね。


先ずはチャットですが、これは対話をすると言う意味で対話の相手がGPTと言うコンピュータプログラムだということです。


要するに相手は生身の人間ではないと言うことです。


次にGPTとは何かということですね。


GGenerativeGPPre-trainedPTTransformerTだそうです。


そう説明されて成程とうなずける人は少ないでしょうね。


日本語にすると「生成型事前学習トランスフォーマー」になるそうです。


トランスフォーマーは言葉が新しすぎて、まだ日本語はないようです。


トランスフォーマーですから全く姿形の違うものに作り替えると言う意味です。


何を作り替えるかと言うと従来のコンピュータが作っていた解答を作り替える訳です。


従来のコンピュータの解答は専門の人間が解析して初めて意味が分かる代物だったので一般向けではありませんでした。


しかしチャットGPTは人間の話し方、書き方のパターンをお手本にして事前学習する画期的なコンピュータプログラムですから、人間と全く同じような言葉遣いが出来るわけです。


人間の話し方、書き方を直接お手本にして、人間そっくりに、ちゃんと単語をつないで答えてくれるので解答を読む限りチャットGPTが書いたのか人間が書いたのか、余程その分野の専門家でもない限り見破ることはできないレベルにまで急成長しています。


まだ過去のデータ全てを使って勝負されたら、もはや人間には太刀打ちできないでしょう。


しかも、その自己学習能力のスピードは等差級数的に速くなっていくようで今年3月に発表された頃のチャットGPT-3では解答の27%に間違いがあったものが2か月後には3%に減少しています。


それだけ十分なビッグデータの蓄積があったのでしょうね。


どうやって蓄積するかと言うと人間との対話で誤りを修正して行くわけです。


ですから人間が使えば使うほど、誤りを指摘すればするほど、正確さを増していくわけです。


チャットGPT恐るべしです。


こうなると過去のデータを解析して仕事にしている分野は遅かれ早かれチャットGPTに取って代わられるかもしれませんね。


囲碁や将棋やチェスの世界では過去の指し手とプロの戦いぶりのデータを全て知っていますから最早、人間が勝てるレベルではなくなっているようです。


しかし1997年五チェスの世界チャンピオンのカスパロフ氏を倒したIBMのディープブルーも今では古すぎで最新のスマホの無料チェスアプリの方が断然強いそうです。


それでもチェスや将棋の人気が一向に衰えず、藤井聡太さんの人気もすごいのは機械は人間には勝てても別に勝負を楽しむようにはプログラムされていないので人間対コンピュータという戦いに人間は興味を示さないので番組としては成立しなかったんですね。


ところが過去のデータが非常に重要になる裁判の判例とか、病気の症例とかの分野では圧倒的にエビデンスが豊富なチャットGPTの方が結果的に正しい判断を下すわけです。


こうなりますと従来の弁護士、医師は失業する可能性が出てきたわけです。


ですから、これからは農業と観光しか生き残れないという極端な意見の人も出てきました。


人間の五欲を満たす分野は今のところコンピュータは、まだ未発達ですから人間の仕事を取ることにはならないという判断でしょう。


しかしこれからメタバースとバーチャルリアリティーの世界でAIのアシストが急成長すれば人間の五欲もコンピュータAIの手のひらの中で転がされる時代になるかもしれません。


チャットGPTの登場で世界がガラッと変わることはまちがいないでしょう。


これからの過渡期に長生きして、この先の世の中の変化を楽しみたいものですね。


今朝は、流行りのチャットGPTのお話をしてみました。


この話題は来月も続けてみたいと思っています。


それでは皆さん、お体を大切に、お聴聞を重ねつつ、今日も一日、元気に過ごしましょう。