迅速な会見とイトゥク(ジョンス)の真摯な言葉は想定した以上に良い効果を生み、世間の騒動は一気に収束。けれども「もう会わない」と言われたヌナは、彼に会いたいと思うようになるのでした。ドンヘはそんなヌナに不安な想いを打ち明けます。一方、イトゥクはイェソンから思わぬ言葉をかけられて…
ーlet me cry, let me flyー
〈序章〉1 2 『終わった恋の置き土産』 3
ep.1〈let me love you〉1
1.5 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11ep.2〈let me go〉1 2 3 4 5 6 7 8 9
9.5 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20ep.3〈let me tell you〉1 2 3 4 5 6 7
(※
印のものが読めなくても話は続くように書いてます)~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
台湾、シンガポール、上海、タイ。半年続いたSUPER SHOW4もあと東京とアンコンを残すのみになった。
僕の、入隊前最後のSS4がもうすぐ終わる。
「トゥギ」
「ん」
ノックと同時に顔を出したのは、ヒチョル。
「ヨンちゃん*に、ここで待ってろって言っといて」
「あぁ。ヒチョル真っ直ぐ帰ってくるんでしょ」
「んあぁ」
「わかった。じゃ、いってらっしゃい」
「おー行ってくる」
今日は、ついにカンイン除隊の日。
僕は当然、この日この時間のスケジュールは完璧に空けていた。
出迎えにいくんだ。行けるメンバー総出で。
9人だったメンバーがまた、10人に戻る。そして僕は、入隊時期を最大限まで延ばすことを決めた。
* * *
「カンイナー!」
「ヒョン!」

懐かしいこの厚み。力強さ。僕の元に可愛い弟が帰ってきた。一人前の男になって。
さぁ、僕も続こう! ウリ ナラのナムジャとして。
* * *
「…なんだそらぁ…」
挨拶回りの最後は、俺の大切な兄、ヒチョルヒョン。固く抱きしめ合ったあとヒョンが "話がある" なんていうから何かと思えばその話ってのが…
「さすがのおまえでも、これは喋りのネタにぁできねェだろ」
「…ったり前だろ。ちょ、ヒョン。それ本当に本当なのか」
ヒョンは軽く頷くと腕を組む。
「正直な。俺は、トゥギとヌナssiはお似合いだと思う」
「……」
「あいつの性格考えたら、そういうヨジャのほうが向いてる。思うだろ、おまえも」
「俺は…その、ヌナssiに会ったこともねぇもん。なんとも言えねぇよ」
「ハッ。おまえらしいな」
俺はもう話の始めからずっと、ヒョンの顔から目が離せない。
「ドンへはな… 正直ヌナssiじゃなくたっていいと思うんだ。あいつは、あぁだから。わかんだろ」
「あぁ。それはわかる」
「だけどよ、そんなの俺がどーこー言うことじゃねーじゃん」
「だよな。…で、ヒョン。その後トゥギヒョンとドンヘはどうしてんだ。ぎこちなくなったりしてないの」
「してないらしい」
「…」
「そこは、もう俺らプロじゃねぇか。それに奴らの兄弟の絆、そんな華奢なモンじゃねぇだろ」
「俺ら全員の、だろ。ヒョン」
「そうだ」
やっとヒチョリヒョンがニヤッと笑う顔を見た。
パン!と派手な音を立てて、ヒョンと俺は手を合わせて握り合う。
だけど。
くぁー…マジかぁ…。
俺がお務めしてる間にそんなことになってたとは。これFF*とかに使えんじゃねぇの?
しかしよりによってトゥギヒョンとドンへとは・・・
* * * * *
「ごちそうさま。ドンへ、いい」
「うん。オレやるから置いてって」
「コマウォ。今日は遅いの」
「んー。押したら今日中には帰れないかも。先寝てて」
「うん、わかった。じゃあわたし行くね」
玄関まで見送りに来てくれたドンへの頬にぽっぽする。
「いってらっしゃい。気をつけて」
ニイッと笑ってドンヘが手をあげた。
・
・
地下鉄のホームに、広告。

"특별한 이름을 갖게 된 순간 특별해진 거죠"
(特別な名前を持つようになった瞬間、特別になったんですよ-SUPER JUNIOR イトゥク)
イトゥクssi。センイル チュッカヘヨ。

"아이돌 수명 5년? 하지만 난 큰 그릇이 될 거라 생각했어요"
(アイドルの寿命は5年? だけど僕は大きな器になるだろうと思った-SUPER JUNIOR ドンヘ)
あの後。台湾から帰ってきたドンヘーー…
「ヌナ。オレが悪い」
メウンタンを前にしてドンヘは頭を下げた。
「チョンマル ミアナダ」
「……」
「オレを許せない?」
頭を上げると、その瞳は揺らいではいなかった。真っ直ぐにわたしを見て、そして言った。
「できればーーオレは、わかってほしいと思う。オレにとっても、トゥギヒョンにとっても、シュジュがどれほど大切か。ここまできたんだ、オレもヒョンも、この器を壊したくない。他のメンバーのためにも、オレたちのせいでそんなことにはできな…いや、したくない。ヒョンとオレとの関係も、オレは…失くせない。…だから」
台湾の公演を、わたしは…ファンの撮った映像を、実は朝になるまで観漁っていた。
ドンヘもジョンスもいつもと変わらないことを確かめても確かめても、衝動は治まらなかった。
わたしは、テーブルの上に置かれたドンヘの手に。視線を向ける。
「もしもヌナが、オレやーー…ヒョンのことを許せないなら、……オレたち終わりにしよう」
しん…と静まり返るドンヘとわたしの間の空気。
ドンヘの薬指にはまだ指輪が光っていて、わたしは自分のそれに思わず触れた。
「…でも」
顔を上げたとき、わたしの瞳から涙が落ちた。
「オレは、そうはしたくない。ヌナの気持ちが今、揺れてるとしても、オレはヌナを離したくない。ずっと側にいて…ほしい」
ぽた、ぽた、と落ちる滴には構わずに、わたしはくちびるを噛む。
・
・
…そしてわたしは、許すことーーつまりドンヘといることを選んだ。
それ以来、ドンへは今までのようにはジョンスの話をしなくなった。
その名のとおりドンヘはまるで海みたいに、ドンヘ自身やわたしや、…それにきっとジョンスの感情を飲み込んだ。
その海はいま、凪いでいる。そこに私は漂っている。
海という名の、甘い檻ーー…

つづく
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さぁ、ようやくこのlet me cry/flyにもカンインが帰ってきました!! ヘ(゚∀゚*)ノ
私の中のSJでは〈トゥギさん+カンイン〉と〈ドンヘ+カンイン〉の存在感ってけっこう大きくて。それで語り手として登場してもらうことにしました。トゥギさんもドンヘもヌナも語れないことを、彼に話してもらおうかと思いマス。(°∀°)b
長のお務め終えて帰ってきてみればコンなことになってたら、そらビックリしますわな。妄想ならでは。
ヒチョルの正直な気持ちが窺えるセリフが、以前ありましたね(ep.2〈let me go〉8)。それ、うかつにメンバーたちには言えなかったと思うんです。でも一人で抱えて見守ってくには限界がある。それでヨンちゃんに白羽の矢を立てた、というわけでした。ヨンちゃんも復帰早々大変だなこりゃ(笑)
ドンヘも。こういう状況をこのまま放っておく人ではないと思います。いっぱい考えたんでしょうね。大好きなヒョンと一緒にステージに立って。
ヌナ、ファイティン。
ヨンちゃん*:ヒチョル流カンインの愛称(本名キム・ヨンウンから)
FF*:ファン・フィクション。ファンが書く小説のこと
let me cry, let me fly ep.3〈let me tell you〉9