秘拳・八極太宗拳

 

(1)本邦初

 八極拳7代掌門人・呉連枝老師による八極太宗拳の伝習会に参加しました。

 八極拳通や専門家の方においては、今回の伝習会は歴史的な場であったようです。

 呉連枝老師によると、当該套路は日本人には30年前に1人(2人)に教えただけで、日本で指導するのは今回が初めてとのことでした(日本で出来る人は、楊傑老師等、他の人から習っているはずとのことでした)。呉連枝氏より八極太宗拳の教授を受けたものは、我が国の歴史上総勢17名しかいないことになります。

 呉連枝氏からは、①名称、②動作、③用法、④要訣(口訣)をご指導いただきました。

 

(2)特徴

 当該套路は、八極拳2世の呉栄が、長拳に八極拳を加味して創始したもので、主に両手を縛られて自由が利かない状態での戦闘を想定していたとのことです。

 徒手套路では、ほぼ最終段階に位置するもので、資料もほとんど無く、全貌を知っている人や、出来る人は殆どいないとのことでした。

 

 

(3)八極太宗拳・全動作名称(第7代掌門人呉連枝伝)

1.溲撞

2.雙陽頂

3.撣手

4.抱拳禮

5.十字手

6.舉鼎

7.肋肘

8.左懸拳

9.肋肘

10.右懸拳

11.双脱拷

12.斜胯

13.獅子張口

14.十字拳

15.圧肘

16.通天炮

17.左打虎式

18.右打虎式

19.穿袖張口

20.叠手鐵扇

21.拉馬式

22.僊人入洞

23.羅漢睡寛

24.左恗籃

25.定陽針

26.釣子脚

27.掖踹翻碓

28.右鐵扇

29.翻胯

30.截抱

31.膀胯

32.架釣双肋肘

33.雙脱﨧

34.劈挑単翼頂

35.大張口

36.小張口

37.左右蹉提

38.撑拳

39.別子挂塌

40.転身向錘

41.鉄扇・摘盔

42.折繮胯

43.扶頂

44.左打虎式・衝天炮

45.転身右打虎式・衝天炮

46.膀胯

47.揺錘(四回)

48.劈抱捔肘

49.摘盔

50.打虎式

51.扶頂

52.金鶏抖翎

53.上歩撑拳

54.羅漢睡覚

55.右打虎式

56.三截抱

57.鶏子穿林(三歩)

58.左鶏子穿林

59.右鶏子穿林

60.左鶏子穿林

61.墊歩蹴地取砂

62.二揺錘

63.独立挪沙

64.撤歩翻胯

65.右打虎式

66.転身右打虎式

67.双肋肘

68.十字手・収式

 

☝書を贈呈いただきました。

「私が亡くなっても八極拳は無くなりません。どうぞ練習を続け八極拳を教え(伝え)広めていって下さい。」とのことでした。

 

 

 

《八極拳の套路学習について(呉連枝氏)》

 「呉氏開門八極拳の套路には、様々な歴史的変遷があり、かなり多くの套路が流入してきていますが、あくまでもその基盤は、三位一体の、八極小架、八極単打・対打、四朗寛ということになります。ですからこれ以外に残されているものについては、やりたければやるというくらいの気持ちで構わないと思います。」

 

《これからの呉氏開門八極拳について(呉連枝氏)》

 「まず、八極拳愛好者は互いを尊敬し合い、八極拳を広めていかなければいけません。保守的にならず、多くの人々にその技術・精神を伝え、皆で開門していかなければならないと思います。呉家の八極拳も、昔は絶対に他人には伝えないようなものもありましたが、現在ではすべて開放しています。これは私自身の経験から、こうすることが八極拳のためによいと判断して実践していることです。例えば、現在各種拳社が、日本で武術を愛好する多くの人々に向けての活動を積極的に行っていることは歓迎されるべきことだと思います。最後になりますが、我々が現代の社会の中で伝統武術を学ぶということの意義は、大きく分けて4つあります。その一つは、まず身体を頑強に、そして健康にすること。二つ目は、武術を通じて友を増やすこと。三番目は自分の身を守るということ。そして最後が、人道を守るということ。これらのことを忘れずに、皆さんも日々の練拳に励んでください。」