癌ですよと、宣告されてあれよあれよとすぐに始まった治療。


ホルモン治療に抗癌剤。

待ったがきかず、ノンストップの治療。

そこに伴う治療費は相当なものでした。


当時保険には入っていたものの、あと数日早く保険に入っていれば対象となっていたはずの「一時金」がおりなかったという経験があります。


保険を契約してから確か3ヶ月ほど経過するまで保険会社は責任を免除される期間があります。


保険に入ってる人は契約してから3ヶ月経過しないと保険が適用されない期間といえばわかりやすいでしょうか。


あと数日保険に入るのが早ければと。。

ものすごく後悔しました。


あのときは病気になってしまったことも大変な中、治療費や生活費、その他目に見えない想定外の費用がどんどん出ていく事がものすごく怖くて仕方がありませんでした。


前にも少し書きましたが、抗がん剤治療は1回あたり、(私の場合ですが)9万〜11万程かかりました。


抗がん剤は1度投与したら、はい!終わり!ではなく、人それぞれではありますが、私の場合は何度も何度も続きました。


先が見えない出費ほど怖いものはない。

「死」に対する恐怖もそれはそれは恐ろしいものです。


「死」に対する恐怖と「お金」に対する恐怖。

ダブルで襲ってきます。

これまでの様々な経験でわかりましたが、「病気」と「お金」は常に一緒に襲ってきます。

眠れたもんじゃありません。


息をしているだけで人間という生き物は、ものすごく莫大な費用がかかるのかと当時は生きていくのも相当大変なことだなと思っていました。


実際、放射線治療で毎日のように顔を合わせていたおばあさんが、「お金が底をついた」と話をしてくれたことがありました。


「あなたはまだまだ若いから。しっかり治しなさい。若いからお金なんてどうにでもなるから。こんな年寄りが今からお金をかけても周りに迷惑をかけるだけなんだよなぁ。こんな歳になってお金が無いとこんなにも惨めなのかと…」と言葉を残し、来なくなってしまったことがありました。


ものすごく心がギュッとなりました。

そんなことない!と思いましたが、あまりにも無責任な言葉、私がお金を工面できるわけでもなく。。

どうすることもできない。

「大丈夫ですよ!」とも言えない。

ものすごく精神的なダメージも大きかったことを覚えています。


お金が尽きたら命も尽きるのか。

そう思ってしまったから。


なんて生きづらい世の中なのだろうと思いました。


都内に借りっぱなしにしてきたお部屋。

会社に立て替えてもらっている社会保険料。

そして、治療費や生活費。


ざっと計算してもわかってるだけでひと月40万は余裕で超えてしまう。

傷病手当だけでは到底足りない。

ものすごく怖くなりました。


もし保険でおりたはずの一時金が適用されていたら?

私の入っていた保険は、適用されたら一度に百万円おりました。


ものすごく考えられた額だと思います。

先立つお金をざっと計算したら、1ヶ月出てていく相当額だと思います。


あ、足りない。。

けれど、100万円あるのとないのとではまるで違う。


傷病手当に高額医療費、もちろんありとあらゆる手当てにとても助けられました。

しかし、手続きが終わり、手元に入ってくるまで全て1カ月はかかります。


先立つお金がないと何もできないんです。

当時の手持ちや貯金がなければ今頃とっくに死んでいたと思います。


自分で管理していた貯金や財形、ありとあらゆるものを崩しました。


1年間地元で治療をし、都内に戻りましたが、都内に戻ってからも抗がん剤は投与しておりました。


仕事をしながら、働きながら。。

治療費を捻出するのに必死になり、本当に散々な日々でした。


少しだけでも貯金はしていてよかったなと心の底から思っています。


父がなくなり、2年後にはすぐにアルバイトをはじめました。


何度も言いますが真顔

毎月少しずつでも貯めておいてよかった、心底思いました。


結局は、社宅費用は会社がお見舞金として免除して下さり、家族が工面してくれたりと、ものすごく周りにも助けてもらいました。


そうでなければ到底払えなかった。


入院費用や手術代は保険が適用されました。


高額医療費も所得によりますが、10万を過ぎた分だけしか戻ってきませんでした。


月に生活費以外に10万円は必ず出るということですね。


当時は「いつまで治療が続くのか」と。。

不安になり、主治医に聞いたことがあります。


私の場合は若いし、悪性度がとても高いとのことで30歳中旬までは続くとのことでした。


10年以上もこの生活が続くのかと。。


生き延びてもこんなに苦しい思いをずっとするのかと思ってしばらく放心状態にもなりましたが、ずっと抗がん剤が続くわけではないとのお話で、見えない部分ではありますが、今よりはマシになるのかと。。


耐えて耐えて耐えまくる日々がものすごく長かったなぁと思います。

 

若くで保険に入る前に癌になってしまった方はどう工面してるのだろう。


明日生きるか死ぬかの時にお金の心配までも重なると、治るものも治らない。


母は当時そんなことを呟いていました。


精神的にも肉体的にも、本当に負担をかけたなと何年経ってもずっとずっと思っています。


病気にならないように毎日笑って楽しく過ごすことも大事、しっかり寝てしっかり食べることも大事ですが、それと同じくらい保険に入るのも大事なことだと当時から思っています。


巻き返すべく猛スピードでためてきた数年間ですが…ゲロー


いつも使うのはあっという間、貯めるのも取り返すのもものすごく時間がかかりますね。


あるに越したことはない、いくらあっても充分とは言えないんだなとこれまでの経験で痛感しています。


将来、病気になったとき、子どもたちが大変な目にあったとき、お互いの両親が倒れたときすぐ飛んでいけるように。


裕福な暮らしがしたいとは願わないから、最低限でいいので。

今より少しでも豊かな暮らしになっていますようにと。。


最近そう願いながら過ごしています。



私は朝が大好きなのですが、空や太陽を見るといつもホッとします。


朝が来た!

今日も朝を迎えられた!!と元気になります。


今日も皆さんがとても良き1日を過ごせますように。