年末年始のお休みをはさみ、「若年性乳ガン」と診断され治療の流れもなんとなくわかってきた。
先ずは上司への報告。
ものすごく気が重たい。
せっかく熱望した営業部に異動させてもらったばかりなのに。
やっとである程度仕事を覚えてきたのに。
そんな思いがあり、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
何といえばいいのか…。
イメージトレーニングを何度も重ねて電話をかけた。
新年度の挨拶と同時に乳がんの件を伝える。
いつもクールな雰囲気の上司は戸惑ったのではないかと思う。
考えたら今の私よりも若い上司。
部下の私(しかも異性)から話をひとしきり聞いて気を遣ってくれた。
仕事のことは何も心配しないでよ。
課長には私から伝えておきます。
気が向いたらいつでも遊びに来てよ。
体大事にしてよ。
そんな内容だった。
クールな上司らしいスマートで完璧な返事。
言葉数は少ないけれど、一言一言でクスッとしていた。
外回りの際は、お昼に色んなお店に連れて行ってもらった
ランチが楽しみで仕方なかった
運転手は私、上司はいつも助手席に乗っていて、仕事以外のお話からプライベートのお話まで色んな話をした。
後ろには女性の先輩も乗っていて、いつも話が物凄く楽しかった
都内の運転なかなか緊張する
狭い道、前から対向車がやってきて焦った私。
後ろを見ながらシフトレバーでバックに切り替えるときに、間違えて上司の太ももを触ったことがある
あ!すみません!あ!どうしよう!後ろからも来てるし!
あ!太もも触ってしまった!あぶなっ!車も危なっ!やばっ!
急ぎすぎて色々ビックリして咄嗟にそのようなことを口にした私わ、わ、若すぎる。
たくさん話したのに、結局こんなのが1番の思い出。(笑)
びっくりした何されるのかと思った〜
上司がものすごい小さい声で言ってました
後ろから見てた女性先輩はオオウケ
つい最近までまだ語り継がれていました
何度話してもこのネタは毎回みんなで笑ってしまう。
ごめんなさい…と心のなかで話題に出るたび思うのだけど、上司は物凄くクールな反応
そこも伝わりにくいのだけど…
その上司で本当に良かったなと思う。
仕事も丁寧で教え方も丁寧。
マイペースな私にはこの上司しかいないなと、過ぎ去ってから思う
その後すぐに課長や部長、総務、社長…
たくさんお世話になっている方々からの電話。
部長や社長からは
心配しないでください。
ズンタローさんの席はしっかり残しておきますので。
絶対に治して帰ってきてください。
と優しい言葉をかけてくれた。
ある方からは
申し訳ないと思って自分からは辞めないこと。いれるだけいた方がいいんだよ。お金なんて何とでもなる。傷病手当を取ることもできる。必ず救済措置がある。何が何でも辞めたらだめだぞ。
起こること全てが初めてだらけ。
若くて無知な私は何からどうしてらいいのか全くわからない。
都内に残してきた社宅。
荷物も置きっぱなしだ。
給与も働かないともちろん入らない。
どうやって社宅の費用や治療費、生活費をまかなえばいいのか。
1ヶ月どのくらいかかるのか。
そもそも保険はどうなってるのか。
目下の治療費が尽きる日はきっと早い。
これからどうやって生きていこうか。
その方の一言で具体的な費用の工面方法を考えるきっかけももらった。
今でもアドバイスや知恵を分けてくれた会社の方々にはとても感謝してもしきれない。
報告したときにはどことなく、治療の目処が立たなくなったら退職しようと考えていたからだ。
同期も温かく、何かできる事はないかと連絡をくれた。
暫くしたら会社のみんなが作ってくれた千羽鶴を同期が飛行機に乗ってわざわざもってきてくれた。