大好きな寺地はるなさんの小説を読みました。
寺地さんの小説は「普通って何?」っていう問いかけがあって好きです、といつも書いている気がします。
今回もそうでした。
主人公は高校1年の香川冬真(かがわとうま)。
6歳の時に両親が離婚した。
父親は妊娠させた部下と結婚した。一緒に暮らしていた頃、父はその人が作ったというお菓子を持ち帰ってきていたが、その人が作っていたと知ったのは去年だった。それ以来、他人が作った料理を受け付けなくなった。
同級生で美形の時枝くんに難病で美少女の妹がいると聞いて、近所だということはわかっていたが、友達に写真を撮ってくるようにせがまれて・・・
もう一人の主人公、紗里(さり)。国際交流プラザで働いている。
きれいなものが好きで、太っていることは罪だと思っている。両親は太っていた。
国際交流フェスというイベントの時に、民族衣装のコーナーにいたら、「きれいな」時枝くんがきた。白いドレスを彼は着た。メイクをするよう言って、化粧をしてあげた。つい写真を撮ってしまった。
プラザのSNSに掲載したいと言ったが、断られ、削除するように言われたのに、消さなかった。
冬真と紗里が交互に食べ物と時枝くんを絡めて出てきます。
もうすぐ大学生になる冬真が紗里にあるお願いごとをすることが最終話です。
二人ともどこかとんがっていたり、抑圧された部分を持ってたりする。だんだん人と関わるうちに削られていくものもあれば、放たれるものもある。そんな、たかが2、3年で変わらないでしょとも思いつつ、特別な人と出会って、突出した物が削れていくものなのかもしれないとも思いました。でも、削られたとしても、その人との出会いでの葛藤もあったりで、それが恋だったり愛だったりするものなのかもと・・・
私はお母さんなので、冬真くんのお母さんに寄せるような気持ちで読みました。
「おかずシェアの会」いいなと思いました。一人で何品も作るよりも、何人かで集まって、それぞれが作ったおかずをシェアするって良い考えだなと。発案は冬真くんのお母さんでした。
それと、冬真くんが大阪から東京の大学に行く旅立ちの時のお母さん、じんわりと涙が出ました。
普通でないのが普通でもいいんじゃないかな。その人たちの普通なんだからと思った一冊でした。
「幸せの形はそれぞれ」、そう思える一冊でした。