こんにちは！

獣医師エリコです(^^)/

今日は、どうぶつ基金様のチケットについて

重要なお知らせがあります。

Happy Tabby Clinicは、

10月末をもって、

どうぶつ基金様の無料チケットの受け入れを終了させていただきます。

当院にはたくさんのボランティア様が

どうぶつ基金様のチケットを使っての手術を受けれらている中

多大なご不便とご迷惑をおかけすることとなり、

大変申し訳ありません。

協力病院からの辞退については、

何年も前から、

これまでブログでも度々口にしていました通り

無料手術をただ受け入れるだけの動物病院としてのありかたを

我ながら問題視していたことが背景にあります。

以下、どうぶつ基金様に宛てた

辞退理由の説明からの抜粋です

簡単に結論を申し上げますと、無料手術のご希望を、

理由を知らないまま受け身で受け入れるのではなく、支援を受けたい理由を聞いた上で、

支援の要不要を動物病院自身で判断していきたいと考えたからです。

クリニック開業当初、私はどうぶつ基金様の「TNR先行型地域猫」のアイデアに賛同し、

協力させていただくことに致しました。初めから地域猫活動ありきでのTNR活動は非常に難しく、

まずは一斉TNRで地域の方に効果を実感していただいた上で地域猫活動に移行していく、

という流れが現実的だと思っていたからです。

しかし、この5年間スペイクリニックでの業務を通して見えてきたのは

・ボランティアさんが一斉TNRを先行して行った後も、

地域が主体で動くことなくボランティアさんによる代理TNRに依存している。

・ボランティアさんがたまたま見つけたり、通報を受けて向かった現場を、

地域住民を巻き込まないままTNRを行っており、その後の見守りができていない。

結果、また過剰繁殖が繰り返されている。（その地域の方は、ボランティアさんの顔も名前も知らない）

・無計画のままとりあえずどうぶつ基金チケットを取得したボランティアさんが

「余らせると翌月にもらえなくなるから」と無理に使用するため、無計画なTNRとなっている。

・相談を受けては、その相談者の協力を得ることなく、その現場を取り仕切ってしまうため、

お1人のボランティアさんまた1団体で沢山の現場を抱え、結果、不完全なTNRとなり、TNRの効果が得られず、毎年たくさんの保護猫を抱えている。

・一度無料で手術を受けた餌やりさんがチケットに依存してしまい、

チケットがなくなると次のチケットが手に入るまで手術を待ってしまう。結果、手術の遅れを招いてしまう。

・本来支援が必要なかった、生活に不自由しない家庭

（スペイクリニックの値段を知っていれば有料で手術をしていたであろう）

まで、自分の庭猫の「手術が無料」が当たり前になってしまい、チケット待ちのため手術遅れを招いてしまう。

以上のような、無料チケットの取得が簡便である副作用として、

不完全なTNR現場がたくさん生まれてしまっている現実が見えてきました。

「TNR先行型地域猫」には、必ず地域の方との協力が必要で、地域の方による見守りが必要です。

もちろん、無料チケットを使用して「地域猫」に移行させ、成功した例もあると思いますが、

ボランティアさんによる「TNR代行」に終わってしまい、地域猫になれないさくら猫をたくさん生み出している例もあります。

その結果、「TNR活動は効果がない」「ボランティアが好きでやっていることだ」という認識を産み、

TNR活動の社会的な地位は向上しないし、新規でボランティアを行う人は増えず、現ボランティアさんが代行する現場が増えるばかり、苦労は増すばかりです。

活動に賛同する獣医師を増やすことも難しいでしょう。

他には、不正利用を疑うお客様の存在も、気分のいいものではありませんでした。

動物病院としましては、「不正ではないか」と思いながらも、証拠がなかったり、

しらを切り通されれば受け入れざるを得ません。

そうした猫をチケット利用で手術し、それで利益を得ている自分自身に嫌気がさすこともしばしばでした。

これらの経験を経て、

ボランティアさんが希望されるままの、受け身の支援を行うこともまた、

ボランティアさん主体でのTNR活動に甘えていたと、

またそれを手術実績や売り上げの支えとしていたことも、獣医師として反省しているところです。

動物病院は、支援を行うこと自体にも、その結果に責任が伴い、

ボランティアさんが望んでも無条件で「はいはい」と受けるのが正しいわけではないと考えています。

支援を行う対象が、どういった現場の猫なのか、どういう人間が関わっているのか、

できるだけちゃんと把握した上で、どの程度の支援が必要なのかどうか、

責任を持って動物病院自身で決定していきたいと思います。

心優しく、機動力のあるボランティアさん達だからこそ、抱え込みすぎないように、

そして協力して下さっている現場がちゃんと実を結ぶように、

時には厳しいかもしれませんが、獣医師が毅然と意見していきたいと考えています。

経済的支援の必要のない方が、自分の飼い猫・庭猫を自分で手術して下さるよう

スペイクリニックのご利用を呼び掛けるための営業努力も、

もっともっとしていかなければと思います。

もちろん、上記のような事例は、どうぶつ基金様だけではなく、

どういった助成制度にも当てはまると思いますし、

どうぶつ基金様にたくさんの命が救われていることもまた事実だと思いますので、

どうぶつ基金様そのものを否定する辞意ではありません。

以上が

辞意に至った理由です。

繰り返しになりますが、当院の誠に勝手な申し出で、

どうぶつ基金様をはじめ、協働ボランティア様、

行政の皆様には、

大変ご迷惑をおかけしますことを心よりお詫び申し上げます。

11月より当院では、

個別支援プロジェクトをはじめ、各種キャンペーンなど

Happy Tabbyの支援策にて

皆様の活動を応援させていただけたらと考えております。

また、11月からはクリニック独自の支援策も検討しております。

追って、お知らせしていきたいと思います。

今後、様々な転換があります

Happy Tabby Clinicですが

かわいそうな野良猫を減らすために

全力で策を考えたい一心は変わっておりません。

どうぞ、

変わらぬ応援のほど

心よりお願い申し上げます。

院長　橋本恵莉子

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