「勉強しなさい」
一日に何度、この言葉を口にしていますか?
宿題をやらない我が子を見て、
つい出てしまうこの一言。
言った後に「また言っちゃった……」と、
少し後味の悪さを感じたことがある方も
多いのではないでしょうか。
実はこの「勉強しなさい」
多くの教育・心理の現場で
「逆効果になりやすい声かけ」
として知られています。
今日は、長年子供たちの
学習指導に携わってきた経験から、
なぜこの言葉が逆効果なのか、
そして代わりにどんな声かけができるのかを
お伝えします。
なぜ「勉強しなさい」は響かないのか
子供がゲームやYouTubeに
夢中になっている時、大人が横から
「勉強しなさい」と言っても、
素直に机に向かう子は
そう多くありません。
それどころか、
「今やろうと思ってたのに」
「うるさいな」という反発が返ってくることも。
これは子供の反抗心だけが
原因ではありません。
人は誰しも「やらされている」
と感じた瞬間にやる気を失う性質を持っています。
これは子供に限った話ではなく、
大人にも当てはまります。
上司から「早くその仕事終わらせて」
と急かされると、それだけで気持ちが萎えてしまう。
あの感覚と同じです。
つまり「勉強しなさい」という言葉は、
内容そのものよりも「コントロールされている」
という感覚を子供に与えてしまい、
本来芽生えるはずだった
「自分から学びたい」という気持ちに
ブレーキをかけてしまうのです。
やる気を奪わない3つの声かけ
では、どんな声かけなら
子供の学ぶ気持ちを後押しできるのでしょうか。
指導の現場で効果を感じてきた
3つの方向性をご紹介します。
① 命令ではなく「問いかけ」にする
「勉強しなさい」を
「今日はどこから始める?」に変えるだけで、
子供が自分で選択している感覚を持てます。
人は自分で決めたことには
責任と意欲を持ちやすいものです。
最初は小さな選択でかまいません。
「漢字と算数、どっちから?」
というレベルからで十分です。
② 結果ではなく「過程」に目を向ける
「勉強しなさい」の裏には、
多くの場合「結果(テストの点数や成績)」
への不安があります。
しかしその不安が
そのまま言葉に出ると、
子供には「あなたのため」ではなく
「親の安心のため」に聞こえてしまいます。
代わりに「昨日より早く終わったね」
「難しい問題、粘って考えてたね」など、
取り組んでいる過程そのものに
目を向けた声かけをすると、
子供は「見てもらえている」
という安心感の中で学びに向かいやすくなります。
③ 「あなたを信じている」を言葉にする
過干渉になりがちな親御さんほど、
実は子供の力を信じたい気持ちが
強い方が多いと感じます。
だからこそ心配になり、
つい口を出してしまう。
その気持ち自体は
決して悪いものではありません。
ただ、その心配を「勉強しなさい」
という命令形で伝えるのではなく、
「あなたなら大丈夫だと思ってるよ」
という信頼の言葉に変換してみてください。
同じ愛情でも、
伝わり方がまったく違ってきます。
声かけを変える前に、知っておいてほしいこと
ここまで3つの声かけを
ご紹介しましたが、
実はテクニックだけを真似しても、
うまくいかないことがあります。
なぜなら、私たちがつい
「勉強しなさい」と言ってしまう背景には、
テクニック以前の
「親自身の心のクセ」が隠れていることが
多いからです。
「子供の将来が心配で仕方ない」
「自分と同じ苦労をさせたくない」
「周りの子と比べて焦ってしまう」
こうした気持ちに
心当たりがある方は、
次は「なぜ自分はこんなに
口を出してしまうのだろう?」という、
ご自身の内側に
目を向けてみることをおすすめします。
子供を変えようとする前に、まず自分の関わり方を見つめ直す。
遠回りに見えて、
実はこれが一番の近道だったりします。
次回は、「なぜ私は
子供に口を出してしまうのか」
というテーマで、
親自身の心の動きについて
掘り下げていきます。