といってもフィクションの話ですが…

 

 たまにネット広告で出てくる『ザ・ファブル』。 第1シーズンは2020年に22巻で完結していて、第2シーズンも昨年かな? 完結しています。「殺し屋」が主人公のお話。舞台は現代の日本… 天才的な殺し屋の青年アキラが、一年間殺しをしてはいけないというルールのもと、大阪で暮らすという物語です。どんな相手もとりこにしてしまう、妹役のヨーコがものすごい酒豪かつ度胸が据わっていて、いい味を出しています。そこにマドンナ役のミサキちゃんや、同業のユーカリ、アザミがからんできて、いっしょに「知恵と工夫」で危機をのりこえていきます。

 

 
 
 
 
 
 
 

 

 

 一時期けっこうのめりこんでいたのですが、そのことを思い出したのは、こんな小説を読んだから。メキシコの麻薬組織のリーダーが抗争にやぶれて、ペルー人に化けて日本に潜入し、新たなビジネスを立ち上げようとするという荒唐無稽なストーリー。聞きなれないタイトルはメキシコにかつて存在したアステカ文明の神の名に由来しています。これもまた派手な暴力シーンの連続で、映像化されたら、絶対「見たくない」物語です。

 

 
 
 

 

 でも、どちらにも共通するのが、肉親との縁がうすく孤独な若者が、凄惨な経験を通じて、疑似家族や本当の心のつながりを得られる「家族」を見出していくという点。とくに「ザ・ファブル」に出てくるクリスマスの晩のシーンと、テスカポリトカの終盤あたりは胸が熱くなって、非情に見える世界にも希望はあるんだなと思わせてくれます。あくまで作り話だけど、ひとつひとつの登場人物のエピソードには、いまの社会の現実が反映されているのだろうなと感じました。少し長いお休みの読書にいかがでしょうか。