テレビで放映していたのでみてみました。イギリスの元首相マーガレット・サッチャーを演じるのはメリル・ストリープ。どんなふうに演じるのかな?と思っていたら、完全になりきっていました(笑)。若いころを演じた女優さんにすごく寄せていて、まったく違和感がなかったです。
内容は政界を引退し、認知症気味のサッチャーが過去を回想していくというものです。認知症だから亡くなった夫がまだ近くにいて何かと声をかけてきたり、見ているほうもちょっと混乱しますが、すぐになれました。勉強ばかりだった学生時代、母のようにお茶碗を洗って一生を終わりたくない、父のように政治家になりたいという熱い思いを抱いて保守党から立候補した若いころ。生涯のパートナーとの出会いや双子の出産、首相選への出馬、首相としての決断などが、その時々のイギリス世相とからめて語られていきます。フォークランド(マルビナス)戦争も彼女の任期中だったのですね!
いつもだとメリルの演じる人物に感情移入してみてしまうのですが、これはどうも… 政治家としての手腕はともかく、ほとんど人間的な面白みが感じられませんでした。圧倒的に男性優位な政治の世界、階級社会のイギリスで闘った人だから、そうやって武装していたのかもしれないけど、映画ならもうちょっとなんとかならなかったのか。首相選に立候補するとき、話し方やファッションについてコンサルを受けるシーンは面白かったですが、実在のーまだひとびとの記憶も新しいー人物の映画を作るのは難しいのだなと思いました。