実はうちの夫が

『SKYキャッスル』

見まして…。(ケーブル再放送)

 

こちらのドラマです。

 

なんと申したかと言いますと、

 

「いや~、今の入試制度って

こんなに複雑なのか!?」

 

と。

 

今頃わかったか~!!

チーンムキー滝汗

 

そう、今の大学入試制度に対する

夫の無理解

 

これが韓国で子育てする母親たちの

大きな難関の一つである。

 

その昔、80年代に大学に通った

うちの夫たちの世代の時は、

入試制度が今よりはるかに単純だった。

 

『SKYキャッスル』にも

しばしば登場する場面なのだが、

夫達が、

 

「試験の成績さえよければ

ソウル大に合格できるだろ!

なんで生徒会長なんかさせなきゃ

いけないんだ!?」

 

と妻に叫ぶ。

 

しかし、現実はそうでないのだ。

 

現代の韓国においては、

SKYに合格しようと思ったら、

 

小学生の時から

生徒会長だ、作文の賞だ、

絵の賞だ、読書活動の賞だ、

模範学生の賞だ…

 

とにかく「スペック」

必要なのだ。

 

賞だけではない。

 

漢字検定何級だとか、

英語検定何級だとか、

海外留学経験だとか、

数学能力検定の点数だとか、

さらには奉仕活動の実績まで

必要である。

 

音楽の時間には、

学校ではリーコーダーぐらいしか

正式には習わないのに、

「楽器演奏テスト」なるものがあって

大半の子供たちは

ピアノ、バイオリン、フルート、

ギター、ドラムなどの腕をそこで披露する。

 

体育の時間だって

日本の学校に比べたらお遊び程度の

運動しかしないのに、

体力テストはいきなり1000M走が

あったりして、

こういう時は、日本人の私は

「子供たちが倒れはしないか」

本気で心配になる。

 

ふだんろくに運動していない子供が

1000Mなんて…。

 

貧血や過呼吸で倒れる子が

続出するのでは…。滝汗

 

案の定、倒れる子も出るらしいが、

すごいのは、うちの長女。

 

ものすごく走るのが苦手なのだが

中学の時に希望高に進学するためには

「体育の評価点数」もよくなければ

ならないので、

「死んでもいい」という覚悟で

1000Mを走り切り、

なんと4等でゴールイン

したのだという…。ゲッソリ

 

この話を聞いたときには、

笑っていいのか悲しんだらいいのか

実に複雑な心境であったことは覚えている。

 

しかし、タイムを聞くと

50M、100Mの短距離にしても

1000Mにしても、日本の子に比べて

遅いわ~!笑い泣き

 

まあそれは仕方ないとしても、

子供たちの健康を損なう大事故が

続出しないだけでも幸いである。

 

「なわとび」の級ってのも

あるんですけどね。

 

これも、学校ではろくになわとびの

跳び方も教えてくれないので、

家庭で親がついて指導します。

 

それも現実的にはたいへんなので、

そのために「テッコンドー」教室に

送るケースも多い。

 

テッコンドー教室でなわとびとか

指導してくれるので。

 

まあともかく、

親自身が時間やエネルギーを投入するか、

でなければ金で解決するか。

 

非常にハードなのが「韓国の教育環境」

であるという認識を

どうしても私たち日本人はもって

しまうわけなのですが…。

 

問題は、日本人の母親だけでなく、

韓国の母親たちもつらいのは、

夫たちがそのことを理解してくれない、

ということなのです。ぐすん

 

夫たちは勉強さえできればよかったからね。

 

入試制度の変化の流れを肌で感じる

機会がほぼない夫たちは

今の入試制度がいかに複雑かわかっていない。

 

だから、母親たちは

子どものマネージャーも完璧にこなすという

プレッシャーを抱えながら、

それを夫が支えてくれないという

二重苦を抱えて

非常に孤独な闘いを強いられるのである。

 

これがますます子どもの教育熱に

拍車をかけさせているという気も。

 

まともかく、

うちの夫も今頃になって

 

「いや~、

こんなにたいへんなのか!」

 

とのんきなことをおっしゃてます。グラサン

 

その間、日本人の私が一人で

それらのプレッシャーと

闘ってきたのですが…。爆  笑

 

それでも私も「ふつうに」

子どもを普通科の高校に送り、

韓国の大学に送ることを考えていたのが…

 

長女が特性化高校(実業系)の道を選び、

次女もそれに続くことで、

「韓国にこんな世界があったのか!」

という新たな発見をすることになる。

 

それは、私が知っている

勉強ばかりに追われる非人間的な

学業の世界とはかけ離れた、

かなりの「自由」がある世界だった。

 

そうして長女は2年間の会社生活を終え、

現在、日本の大学進学を目指して準備中。

 

結局、私自身は

『SKYキャッスル』路線からは

大きく外れた子育てをすることになったため、

正直、楽をさせてもらいました。

 

でも、私の周囲でも

日本人でありながらお子さんをしっかり

SKYに入学させたママさんたちもいて、

そのご苦労に対しては心からリスペクト。

 

あるママさんちは、

子供たちが小学生まで

ソウル周辺の京畿道のある都市に在住。

 

第一子の中学入学とともに

ソウル江南周辺の教育熱が非常に高い地域に

引っ越したのですが、

小学校の成績は上位だったのに

新しい中学では成績最悪。

 

そこで地方とソウル江南圏の

教育レベルの差を肌で実感。

 

そこから、中学1年の1学期の間に

積み上げたら高さ1mにはなろうという

数学の問題集を解いたといいます。

 

それでようやく学校のレベルに

ついていけるようになったそう。

 

英語塾も、あまりレベルが低いと

受け入れてくれなったりするので

何軒も塾を廻ってようやく

入れてくれるところを探した、だとか。

 

とにかく6年間、そのハードな地域で

親子ともに頑張り抜き、

晴れてSKY入学という偉業を果たしました。

 

 

ところでこのドラマの登場人物たち、

ドラマの大ヒットにより

マスコミに出ずっぱり。

 

この間はうちでとってる新聞にも

見開き記事で出てた。

 

 

この二人、どちらもミスコリア出身。

演技も抜群の方々ですが

 

 

こちらの主人公のヨム・ジョンア。

 

ご主人は医者で、

それこそ今や江南・テチ洞よりも

教育熱がホットというパンギョという

地域に住んでいる。

 

…という話を最近聞いて、

「だからか~!」と納得。

 

この方自身がまさに『SKYキャッスル』の

世界を生きている方なわけで。

 

そりゃ~迫真の演技になるわよね。

(っていうか、リアル?)

 

 

 

コーディ役のキム・ソヒョンの

演技も尋常じゃありませんが、

この「キム・ジュヨン」という

ソウル大入試コーディのキャラも、

 

やはり韓国人だから出せる味

というか、これ、同じドラマを

日本でつくったとしても

こういう迫力は出ないだろうなあ…。

 

韓国女性たちの

子どもにかける情熱。

 

ある面、執着ともいえるその迫力は

私たちには共感すらも難しい世界なので。

 

ようやくできるのは、

頭による「理解」程度。

 

まあしかし、余韻も大きいドラマですね。

 

韓国全体がまだまだ

『SKYキャッスル』しています。

 

 

このドラマのおかげで

うちの夫も、私および韓国の母親たちの

苦労をより実感できるようになりましたが…

 

多くの家庭において、

そういうプラスの変化が起こることを

期待したいものです。照れ

 

(まき)