見てしまった~!叫び

(再放送でまとめて視聴)

 

『SKY 캐슬』

(SKYキャッスル)

 

 

つい先日、第20話で最終回を迎えた

jtbc金・土ドラマ。

 

まったく期待されないままスタートしたのが

初回視聴率1.7%から

ぐんぐん視聴率を伸ばし、

 

最終的には23.8%という

高視聴率を叩き出した

ここ数ヶ月の間、

韓国で最も話題となったドラマである。

 

ネットに紹介されている

ドラマのテーマは以下。

 

「大韓民国の上位0.1%が居住するSKYキャッスルの内部で、夫は「王」として、子どもは天下一の「王子・王女」として育てたがる名門家出身の妻たちの凄絶な欲望があからさまに描かれるリアルコミック風刺ドラマ」

 

 

 

「SKYキャッスル」

大学教授や医者だけが住む超高級住宅地。

 

住人たちは、子供の

「ソウル大合格」

に命を懸けている。

 

「SKYキャッスル」という

ネーミング自体が、韓国の有名大学を

象徴していることは、韓国人なら誰でもわかる。

 

S…ソウル大学(Seoul大学)

K…高麗大学(Koryo大学)

Y…延世大学(Yonse大学)

 

日本でいうと東大、慶応、早稲田に

あたると上記3大学(=SKY大学)

に入学させること、

中でも「ソウル大」入学させることが

セレブ家庭においては

「何よりも」重要。

 

…というより「基本」

 

まずはこれが達成されなければ

何もはじまらず、

逆にこれさえ達成すれば

合格までの苦労はすべて消え去ると

信じる人々。

 

ドラマの話ではなく、これが

韓国の現実である。

 

(もちろんそれ以上にハーバードなどの

海外の一流大学合格は価値が高いが)

 

韓国では、ソウル江南区、

中でも대치동 (大峙洞/テチ洞)地域の

教育熱は突出している。

 

このドラマは、そのテチ洞の

セレブ妻たちの姿を描いたものと

言われるが、

 

おそろしいのは

このドラマを見ながら

「う~ん、これきっとリアルそのままだ…」滝汗

と思えてしまうことである。

 

おそらくは日本の皆様が見たら、

「え、なにこれ~!まるでマンガじゃない」目

と思えるほど非現実的なストーリーでは

ないかと思うのだが、

 

韓国に住んでいる私たちからすると

どの場面を見ても「ありうる…」

という言葉がつい出てしまう。

 

というか、実際にはこれより

もっとすごいんじゃないかとさえ思えてしまう。

(実際、ある韓国の教育関係者が

そう語っているYouTube動画も見たことがある)

 

それぐらい、日本人の私たちに見える

韓国の教育熱は度を越しているし、

韓国人自体もそのことを自覚していない

わけではない。

 

しかし、このドラマの重要なテーマの

一つともなっているように、

それを変えることはほぼ

「不可能に近い」のだ。

 

この異常な教育熱のために

子どもが精神異常をきたそうと、

自殺者が出ようと、

どんな犠牲者が出ようと

この教育熱が「冷める」日が来る

ということを、もしかすると

韓国人の誰も信じていないかもしれない。

 

 

 

たとえばこの女性。

 

子供をソウル大に入れるための

「入試コーディネーター」なのだが

彼女に支払われる報酬はドラマの中では

数十億ウォン(数億円)だ。

 

非現実的!

と思われるかもしれないが、

ソウル大に100%合格させるための

全科目専門講師付きの指導、

生活スケジュールの管理、

そして瞑想をとおして心の管理まで

「すべて」を任せてしまうのだから

そのぐらいの金額は出すだろうな…

と私などでも思ってしまう。

 

ま、実際にここまで子供を

全面的に管理するのはドラマチックと

いう感じはするが、

ソウル大合格のための

「コーディネーター」が存在する

という話は実際に聞く。

 

知人の友人に

テチ洞の進学塾の講師を

なさっている方がいるが、

この方の年棒が3億ウォン(3千万円)。

 

人気講師になると10億ウォン

(1億円)にいたるそうな。

 

どれだけの金が進学塾に

つぎこまれているかがわかる。

 

さらには絶対、家庭教師だってつけてるし、

コーディネートだってつけてる

可能性はあるしで、

 

とにかく韓国ではソウル大に合格させる

というのは経済力勝負。

 

実際に、ソウル大合格者の半数以上が

ソウルの江南地域出身者という

おそるべき統計がある。

 

 

このドラマは、ほんとうに

ドラマとしてはまったく期待されて

なかったらしい。

 

人気俳優も登場しないし、

テーマ自体も「教育」といった

テーマはウケるものではないし…

といったことで。

 

ところがスタートしてみたら

あれよあれよと視聴率が上がり、

韓国ドラマ史に残りうるヒット作と

なってしまった。

 

やっぱり韓国人の誰もが

感じている「現実」なのだ。

 

このドラマの登場人物のような

経済力がない庶民からすれば

人生の理不尽をこれ以上なく感じる

やるせなさ?嫉妬?

 

日々の鬱憤がはらされる爽快感?

 

そして、ドラマの主人公のごとく

生きている人たちからすれば、

自分たちだけの秘密情報が公開されてしまう

不安や恐怖? 

 

あるいは優越感?

 

 

 

こちらがドラマの中のご主人たちだが、

多くの場合、教育に熱を上げるのは妻たちだが、

中には妻のほうが冷静で、夫のほうが

異様にテンションが高い家庭がある。

 

このドラマは、ドラマの中心となる

4家庭と、その周辺の家庭をとおして、

「あるある」家庭タイプ、夫婦タイプを

うまく配置しており、

そのあたり非常にリアリティーもあるし

多数の視聴者からの共感を得やすくなっている。

 

また、私のような人間からすれば

日本をはじめとする諸外国に

「韓国の教育熱の現状」を紹介するのに

非常にバランスよくあらゆるケースが

紹介されている、優れた参考資料に

仕上がっていると評価したい。

 

まあ~、いずれ日本で公開されたら

見てください。

 

在韓のママさんたちも、

これは見たらいいと思います。

 

ちなみに…

 

必ずしもこのドラマのごとく

勉強しなければソウル大に

入れないわけではありません。

 

そうでないケースももちろんあります。

 

ただ、そういったケースの場合も、

日本人の想像を超えるハードな勉強を

していることはたしかですけどね。

 

また、ある程度経済力が必要だ、

ということも事実ではありますけどね。

 

必ずしもドラマのごとくにしなければ

SKYに入れないわけではありませんので…

 

その点誤解なきよう。

 

とにかく、

リアルな韓国を知るために

「よく作ってくれたな」

というのが実感です。

 

単純に是非で判断することなく、

多くのことを感じてくださるといいなあと

思います。

 

(まき)