草むらの上を、ツバメが2羽、飛んでいた。


スイスイ、クルクル、すごい勢いで飛びまわっていた。


虫を捕らえようとしているのね…


しばらく前にショッピングモールの軒下でみかけたツバメの巣を、想い出した。




その巣では、随分と大きくなったヒナが3羽、親鳥たちの帰りを待っていた。


小さめにみえる巣に納まりながら、じっとおとなしく親を待っているヒナたちの姿は、胸がきゅんとするほど可愛かった。



しばらくするとヒナたちは、自分めがけて飛んでくる親鳥の姿をみつけ、ピィピィピィ!と大騒ぎ。


すぐに親鳥が到着、せわしく羽ばたきながら、ヒナが開けた大きなお口にサッと給餌し、空へと飛び立っていった。


ヒナたちは、またシンとおとなしくなり、親鳥たちの帰りを待ちわびるお顔になった。


ちょっとの間があり、またピィピィピィ!と大騒ぎ。
舞い戻る、親鳥。
飛び立つ、親鳥。


何度も舞い戻っては飛んでいく親鳥たちの無事を願った。




今、私の目の前を飛びまわるツバメさん。

あなたがたは、親鳥さんですか?
巣で待つヒナたちのため、頑張っているのですか?

それとも、

あなたがたは、巣から巣立ったヒナさんですか?
いよいよ、飛べるようになったのですか?



草むらの上をひたすらに飛び交うツバメにそう問いかけたら、


じっと親の帰りを待っていた子の心が、
懸命に子のもとへ舞い戻る親の心が、

急に胸に迫り、

焦がれるような気持ちとともに、涙があふれてきた。