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【友だちとの遊びで何を学ぶのか?】
幼児にとって、遊びは生活そのものであり、学習そのものであるということは、以前にも話をしました。
しかし、発達段階の中での遊びの発達場面で、「うちの子は、いまだに一人遊びばかりで、友だちとなかなか遊べない」とか「けんかしたりしてトラブルを起こしてくる」というような悩みをお持ちの方もいるのではないでしょうか?
遊びは、元来子どもにとって自発的な活動であるはずです。子ども同士のつきあいでは、遊びの中で仲間にしてほしいために、自分の存在感を表現したり、相手の気に入るような行動をしたりして、自分を適応させようとその子どもなりに努力します。
ところで、子どもが体験してきた家族とのこれまでのつきあい方を見てみましょう。
①できないことがあると、大人がすぐ助け船を出してくれる。
②つまらなそうにポツンとしていれば、「遊びましょう」と大人が誘ってくれる。
③望めば順番も大人が譲ってくれる。
これが一般的な家庭における子どもと大人とのつきあい方です。
しかし、「子どもと子ども」のつきあいでは、そうはいかないのが常です。
ブランコ一つとっても「私が一番よ」と先を争って乗りたいという相手です。これまでに得た家庭での経験や知識は役に立ちません。
そこで新しく子ども同士のつきあい方を体験、学習していくのです。
これが遊びを覚えていく過程です。
ところが大人は子どもの気持ちを考えず、外側から、たんに友だちの遊びの中に参加させることだけで、子どもを遊ばせたいと思いがちです。
また、幼稚園に行く頃になれば、友だちと遊べるものだと期待しますが、子どもにとっては決してやさしいことではありません。
親が期待するようにはすぐに子ども同士で遊べないのです。
子どもたちの望ましい友だちづきあいを育むために、親として心がけて欲しいことをあげてみます。
1 他の子どもの遊びを眺めているのも貴重な体験である。
2 子どもたちが遊んでいる姿に、強い関心を示している時をとらえて、「仲間に入れて、と頼んでごらん」とすすめてみる。
3 はじめは一人からはじめ、グループ遊びへと誘うようにする。
4 親の好みで友だちや遊びを制限しない。
5 親同士が行き来を多くし、子ども同士のかかわりの場や機会を積極的につくってやる。そして、親と子どもが一緒に楽しい経験をする。
6 子どもがどのような場面や相手の時に仲間に入れないで孤立するのか、実情を観察し援助する。
子どもが健康な社会人として成長していくために、多様な対人関係の中でその一部である友だち関係を考えると、より多くのものを学ぶ、最もふさわしいよき相手は「友だち」であるということを強調したいですね。
さて、この遊びですが、一般的に幼児期における友だちとの関係は、はじめは、同じ年頃の幼児がいると互いに別の遊びをしながら、同じ場所で過ごすことで満足する様子がみられます。
それが言葉を交わしたり、おもちゃのやりとりをする等のかかわりが行われるようになってきます。ときに子ども同士の激しい自己主張をするようになり、そうした中で、怒り、悲しさ、寂しさ等を味わう体験を積み重ねていきます。そして、相手と自分とは違った感情や主張をもった存在であることに気くようになります。
こうしたことを繰り返しながら、子どもはお互いの主張をうまく出し合ったり、相手を認めたり、譲り合ったり、協同作業をすることを体得していくといわれています。
幼児の世界では、友だちとのかかわりが盛んになれば、けんかが起こるのは当然な現象で、見方によればむしろ好ましい成長の姿でもありましょう。
したがって大人は、危険な場合を除き、子ども同士のけんかには不用意な口だしや性急に正否の結論を出さないことです。
そして、子ども自身で問題を処理するように方向づけをしてやるなり、仲直りの機会を見守るなり、その時々に適した援助をすることが大切です。
干渉が過ぎると依存度の高い子どもとなる恐れがあると言われます。
けんかは、子ども自身が身をもって獲得していく社会性の芽生えとして大切なものであることを心したいものです。
そして、幼稚園や保育所のような集団の場などで、共通の目的をもって生活を展開する喜びや楽しさを味わえるようになると、友だち関係はさらに広がりを見せます。
そこでイメージになかった世界にも出合い、何人かの友だちと一緒に遊ぶことが生活を豊かに楽しくすることを体験するのです。ここでは、友だちの大切さに気づいていくことになります。
このようにこの時期における遊びやけんかは、子どもが多様な経験を通して多くの友だちと協力して遊ぶことのおもしろさ、友だちと支え合って生活することの楽しさを味わいながら、主体性や社会性を芽生えさせる大切なきっかけであると言えます。
子どもの成長や学習を奪わないで!!
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