≪上肢帯の筋≫

上肢帯の骨(鎖骨、肩甲骨)から起こり、上腕骨に停止する筋群。

すべて腕神経叢の枝によって支配される。


●三角筋

  【起始】 

前部 : 鎖骨外側1/3

中部 : 肩甲棘

後部 : 肩甲骨肩峰

  【停止】 

三角筋粗面

【支配神経】 

腋窩神経 (C5、6)

  【作用】

前部 : 肩関節の外転、屈曲、水平屈曲、内旋

中部 : 肩関節の外転

後部 : 肩関節の外転、伸展、水平伸展、外旋

  【メモ】

肩関節の前部、上部、後部をおおう三角形の厚い筋肉。

鎖骨の外側1/3から肩峰にかけて起こる前部繊維、肩峰から起こる中部繊維、肩甲棘から起こる後部繊維からなり、上腕骨の三角筋粗面に停止する。

筋全体が働くと肩関節を外転する。前部繊維が働くと上腕を屈曲し、後部繊維が働くと上腕を伸展する運動となる。

三角筋と大胸筋によって作られる溝を三角胸筋溝といい、橈側皮静脈が通る。


●棘上筋

  【起始】

肩甲骨棘上窩の内側2/3

  【停止】
上腕骨大結節の上端

【支配神経】

肩甲上神経 (C5)

  【作用】

肩関節の外転

上腕骨頭を関節窩に近付けての安定

  【メモ】

僧帽筋の肩部の下層で棘上窩を満たし、肩関節の上方を越える腱となって上腕骨大結節に停止する。

肩関節の外転を開始する際に働き、三角筋の協力筋であり、上腕骨頭を関節窩に強く固定する。

棘上筋の腱と三角筋の間には三角筋下包、肩峰との間には肩峰下包と呼ばれる滑液包が存在し、これらの滑液包によって腱の運動はより円滑に行われる。加齢などによってこの滑液包に変性(石灰化など)が起こると、外転の際に疼痛を生じることがある。


●棘下筋

  【起始】  

肩甲骨後面の棘下窩

  【停止】 

上腕骨大結節の後部

【支配神経】 

肩甲上神経(C5、6)

  【作用】

肩関節の外旋、水平伸展

  【メモ】

肩甲骨の背面の棘下窩全域から起こり、肩関節を外旋する。

棘上筋と棘下筋は、ともに腕神経叢の上神経幹から出て上肩甲横靱帯をくぐった肩甲上神経によって支配される。


●小円筋
  【起始】

肩甲骨外側縁の中央後部

  【停止】 

上腕骨大結節の後部

【支配神経】 

腋窩神経 (C5、6)

  【作用】

肩関節の外旋、伸展、水平伸展

  【メモ】

肩甲骨の外側縁から起こり、棘下筋の下方を並行して走る。停止は棘下筋停止部のすぐ下である。

棘下筋同様、肩関節を外旋する。


●肩甲下筋

  【起始】

肩甲骨前面の肩甲下窩前面

  【停止】 

上腕骨小結節

【支配神経】

肩甲下神経 (C5、6)

  【作用】

肩関節の内旋、内転、伸展

  【メモ】

肩甲骨前面から起こり、肩関節の前面を走る。

肩関節を内旋する。


●大円筋
  【起始】

肩甲骨下角

  【停止】

上腕骨小結節稜

【支配神経】

肩甲下神経 (C5、6、7)

 【作用】

肩関節の内旋、内転、伸展

  【メモ】

肩甲骨の下角から起こり、上腕骨の前面に走り小結節稜に停止する。

肩関節を内旋、内転する。


≪回旋筋腱板≫

棘上筋棘下筋小円筋肩甲下筋の4筋は、肩関節を上、後、前の3方向から包むように上腕骨の上部にある大・小結節に停止する。したがって、上腕骨頭を肩関節窩に引き付ける作用を有し、肩関節のの安定と補強に関与する。