「お天道様が見ているから、悪い事しちゃダメだよ」
昔、祖母に良くこんな事を言われ、子供心に眼に見えない何かが自分たちを見ているんだと妙に納得したものです。
大人になってから、そんな事を考えることもなくなっていましたが、昨年のある出来事を境に、苦しい時、悩んだ時など、ふと「A先生が見ているから、もうちょっと頑張ろう」と考えるようになりました。
A先生は、私にとって初めての指導医で、医療の仕事とはどんなものなのかを一から教えてくださった大切な先輩でした。そればかりでなく、私が研究を始めるきっかけを与えて下さった先輩でもありました。
そんなA先生が突然の病に襲われ、闘病の末、天国へと旅立ってから、一年が経ちました。
私がA先生と最後に会ったのは、今回の留学が決定する前、ちょうど今のボスとの面談を控えていた時期でしたが、その時に笑顔で話していたA先生の姿が今でも私の眼に焼き付いています。いつも苦しんでいる、悩んでいる後輩を励まし、温かい言葉や適切な助言を与えてくれる人でした。
私のラボの机には、A先生が留学前に送ってくれた最後のメールが貼ってあります。このメールに書かれていた「頑張れ」の言葉を心に留めながら、前に進もうと思います。
「A先生が見てくれているから、もうちょっと頑張ろう」