*あくまでも個人の考えです。

地頭ネタの本家(?!)である、うーたんパパさんのブログで「入学後に差がつくのは何故か」という考察をされています。そちらに便乗して(笑)、入学後の勉強のお話を東大の教養学部(大学1-2年)を例に書いてみようと思います。

本稿は、下記の限定記事を大幅に加筆修正したものです。修正し過ぎだろう、というツッコミはご遠慮願います(笑)。


図1に示す、東大入学までの学力推移のグラフは、こちらの動画を参考に、ロースかつが作成したものです。




図1:大学入学までの学力推移


①中学受験を経て、私立の中高一貫校から東大に進学する場合の学力推移

②普通の公立中高のカリキュラムをやっていて、東大に進学する場合の学力推移

をモデル化しグラフにしたものです。縦軸は中学と高校で学ぶ内容の比が1:4くらい、という観点からそれぞれの年齢での到達度をざっくり設定しています。

①私立中高一貫コースに比べ、②純公立中高コースは高校入学後の傾斜(単位時間あたりの学習量)がきついのは事実です。その為、上で紹介した動画では「だから私立の中高一貫校が有利だ」という結論になっています。

しかし、逆に言うと公立中高ルートで現役で東大に来るのは、グラフの中の②の傾斜を登れる、つまり中高一貫校の学生が4~5年かけてやった高校の学習内容を、3年弱で東大に合格するレベルまで仕上げることができた学生です。単純化すると、単位時間あたりに学習して身に付けられる量が、中高一貫校ルートの普通の生徒の1.5倍以上ないと間に合わない計算になります。
ですから、大学入試時の学力(ストック)が同程度だからと言って、学習能力(未知の内容を新しく身に付ける能力、フロー)が同じであるわけがないのです。

この「学習能力差」がある状態で、進学振り分けの為に「大学に入って新しく学ぶ諸々のこと」を多くの学生がガチで勉強して試験を行うのですから、思うような成績が取れない学生が出てきます。
特に「高校の内容に時間をかける先取りのカリキュラムがあったから東大生になれた、くらいの学習能力の学生」の中には、サボっているわけではないのに、単位時間あたりの習得量が人間離れしている天才系だけでなく、田舎の秀才系にも打ち負ける学生も出てきます(図2)

図2:教養学部修了までの学力推移


進振り対策の先取り学習として、某大学受験塾が「中学準備講座」ならぬ「東大入学準備講座」、つまり現役東大生の講師による「駒場の一般教養」のプレ講義でもやればいいのかもしれません。•••こんなことをネタで書いていますが、本当にあったらどうしましょう(笑)。



この「試験合格の時点での学力(ストック)は同レベルでも学習能力(フロー)は格段の差がある」のは、別に大学に限らず、高校であれ中学であれ、士業などの資格試験であれ、必ず存在していることです。試験の合格は「試験に合格する最低限の学力」があることを示しているだけで、学習能力が高いことは一切保証しません。単に、試験時点で学力の高い人間に、学習能力も高い人間が多いだけです。

ですから、難関中学に合格したことは難関大学に合格できることを担保しません。世間で言う「地頭の良さ」はどちらかと言うと「学習能力の高さ」を示していることが多いので、難関中学の試験を突破できたからといって、必ずしも地頭が良いとはいえないわけです。
更に、中学受験を筆頭に、塾・予備校などのシステムや、親のサポートを受けて本人の地頭相当を上回る成果(試験結果)を出している部分があることも無視できません。


しかし、人生は死ぬまで学びの連続です。そして高度なことをやろうとするほど、新しいことを短時間で学習する能力が求められます。

1⃣試験時点で学力が高い
2⃣効率的に学習する能力が高い

長い人生で必要とされる能力は2⃣で、1️⃣はその傍証に過ぎません。そして、即物的に1⃣を伸ばす方策(先取り学習で時間をかける、親や塾が面倒みすぎる、自分でやり方を考えない)ばかりをやっていると、自分で工夫し効率化し2⃣の能力を拡充させるせっかくの機会を潰すよ、と自分は思います。


参考動画


ガンダム00に出てくる「ヴェーダ」はパイロットの操縦サポートもしてくれる人工知能で、名前の元ネタはインド神話に出てくる神格化された「知識」だそうです。

人工知能に依存して楽な戦いをしてきた結果、サポートなしで戦ってきた「超兵」に一方的にボコられる、そんな場面です。