*あくまでも個人の考えです。
その1はこちら
博士課程進学の何がダメなのか、一言で言うと博士課程修了後に「まともな給料が出る職に就くことが困難」だからです。文系の博士は論外として、理系でもほとんどの分野で博士の就職は困難です。困難な理由としては、
・パーマネントなアカデミックポストは絶対数が少ない(しかも給料が安い)
・ポスドクは身分が不安定な上、就職の困難を先送りしているだけ(しかも給料が安い)
・まともな給料が出る民間企業への就職口は、絶対数が少ない上にマッチングが難しい
かれこれ30年くらい(それ以上?)言われていることですが、上記の問題は全く解決していません。加えて、大学入試や資格試験は「テストのスコアが高ければ合格する」世界ですが、博士卒の就職は実力(研究者としての能力・実績)があれば就職できるというものではなく、コネクションやタイミング、運など、「本人の実力」だけで決まらない要素が多すぎます。
その為、博士課程を修了してすぐに「まともに食っていける職業」に就けるのは、相当に運のいい人です。たまたま自分が運が良くまともな職にありつけた為、無責任に博士課程進学を後進に勧める人もいますが、そういう人の話は「宝くじで高額当選金に当たった人の自慢話」程度に聞き流しておく方が無難です。
民間企業への就職を考えた場合、文系は修士課程進学も微妙で、博士課程は問題外です。理系は今や修士課程進学が普通になっていますが、修士卒での就職と博士卒での就職は、難易度に雲泥の差があります。世間的には博士卒は「働いたことのない27歳」として扱われます。
ですので、博士課程に進学していいのは、次の1⃣~3⃣のどれかに当てはまる人間だと自分は考えます。
1⃣就職して賃金労働することなど考えなくていいほど実家が裕福で、働く必要性のない人間
2⃣それまでの経歴関係なしに就職先を用意できる権力者と、強力なコネクションがある人間
3⃣現世での利益も生きることへの執着も超越し、すでに悟りの境地に至った「目覚めし者」
一言で言ってしまうと「カネもコネもない俗人は博士課程に行ってはいけない」のです。
参考文献は「ポスドク問題」「博士課程&就職」などのキーワードで検索すれば山ほど出てきますが、一例をご紹介しておきます。
【ポスドク問題】有能な研究員が抱える社会的不安とは?