「忘れかけた夢」
最後の角を曲がるときに振り向いた。
あんなにずっと後ろは見ないように気をつけていたのに。
君と共に行くと危険だと知らされていたのに。
最後の角を曲がるとき
君を置いて進んできた僕なのに
君は優しく声をかけてくれた。
高い山には登らず
嵐にも巻き込まれず
この道を進んできた僕だけれど
最後の角を曲がるとき
この先に追いかけたいものは何もないんだと
眩しく光る君が教えてくれたようだった。
傷だらけの君だけど
そんな眩しさは僕の歩いてきた道では
見たことがなかった。
最後の角は曲がらずに
もう一つの道を行けば
僕もいつか君のようになれるのだろうか。