私の母は 92歳, 今年の秋には93歳になります。

14年前に 父が亡くなってから しばらくして

住み慣れた福岡の家を さっぱり処分して

我が家の近くの 小さな 賃貸マンションに

移り住んできました。

ありがたいことに 92歳の今も ひとりで 元気に

暮らしています。

足は随分弱ってきましたし、多少の老人ボケも…

でも 口は達者、毎日 私とおしゃべりするのが

日課です。

私は 寄れる時は 母のところにちょっとでも

寄って 様子を見るようにしています。

と言っても お茶とお菓子をご馳走になって

癒されているのは 私の方ですが…

そして よく 昔の話をするので、 (何度も同じ話も…)

時に 、面倒くさいとも思いますけど、聴くように

しています。

ヘェ~という 驚きや 感動も時にあるし、

気付かされることも あります。

今日も 何度も聞かされた 話でしたが、違った

感動がありました。

父と母は 戦後数年後に出会って 恋に落ちて

結婚しました。

4歳年下の父は就職して間もなかったので

生活は苦しかったそうです。

私が生まれて間もなく 住んでいたアパートが

火事になりました。

父は私を抱いて、母は 友人から借りていた

カメラだけを持って 外に飛び出したそうです。

全て焼けてしまったとか…

何てことに!と思いますが、 母は

「でも もともと お金も 物も なかったから」と

笑って 言います。

母は よく 若い頃の 経済的には厳しかった生活を

振り返って、 「貧乏は幸せよ。だって お給料日に

味わう喜びや 感謝は格別だもの。お給料日には

牛肉を買って、子供達には アイス買っておいでと

お小遣いを渡すの。そしたら あなたたちは 喜んで

お菓子屋さんに飛んで行ったわ。」と 話します。

火事に遭ったって もともと 何も失うものが

ないから 平気なんですね。

今の 恵まれ過ぎた 贅沢に慣れた 日本の暮らしに

ついて あらためて 考えさせられました。