県立大生物資源工学研究所の大山莞爾(かんじ)教授は五日までに、
民家の庭などに群生するゼニゴケを遺伝子操作し、
動脈硬化、脳梗塞(のうこうそく)などの予防、治療や脳を活性化する脂肪酸を増加させる技術を確立した。
ゼニゴケは、比較的低コストで大量栽培することが可能で、
抽出した脂肪酸を含む油をサプリメントなどとして安く製品化することを目指す。
この脂肪酸はEPA(エイコサペンタエン酸)、ARA(アラキドン酸)で、
青魚などに多く含まれていることで知られる。
陸上の植物では蘚苔類(せんたいるい)のみがつくり出すことができる。
ゼニゴケには本来EPAとARAをつくり出す遺伝子が一つずつある。
大山教授は遺伝子操作し、その数を増やしたり、働きを強めたりすることで、
一トンのコケから抽出できる油約二百キロの中に含まれるEPA、ARAの割合を3%から7%まで増やすことに成功した。
EPA、ARAの成分を含むサプリメントは、青魚やカビから抽出したものが既に市販されている。
大山教授によると、ゼニゴケは、太陽光より弱い光でも光合成するなど、
カビより低コストで大量栽培が可能で、同じ量の成分抽出ならカビより安価だという。
さらに大山教授は、室温、光量を調整した「植物工場」と呼ばれる屋内圃場(ほじょう)で、
より安価にゼニゴケを大量栽培する研究も同時に進めている。
ビルの地下や空き工場を利用することで天候に左右されず、都市部でも生産ができる。
大山教授は二〇〇六年度、県産業創出支援機構の援助を受け、県内などの四社との共同で研究を始めた。
EPAを含むマグロの漁獲量制限導入を懸念し、光合成による環境浄化が狙え、
遺伝子操作のノウハウを持つゼニゴケを研究対象に選んだ。
教授は「年度内に人工圃場でのゼニゴケ栽培にめどをつけ、二、三年かけて安全性を確かめたい」と話している。